北陸大学教職員組合ニュース第161号(2000.10.28発行)

 

三菱総研資料突如出現に抗議

 

先日、三学部長(「事務取扱」の方をも含む)が、学長から、「三菱総合研究所」作成の三学部それぞれの「学部評価体系に関する検討用資料」と、「教員評価制度の構築」と題するパンフレットが手渡されました。「評価結果の活用方法」欄には、「昇任」、「賞与・昇給」の「一資料として活用」するとあります。

10月17日、田村光彰委員長と岡野浩史書記長は、松村労務担当理事に抗議しました。その要点は以下の通りです。

@全学機関・準備委員会の無視

 現在、三学部の代表と学長、事務職員を含めて「自己点検・自己評価準備委員会」が作られ、すでに二回( 6 9日、8 8 日)の全学討議を経ています。法学部では、二年前から点検を進めています。松村常務は、「参考資料」であると答えました。参考資料ならば、なぜ、この全学の準備委員会で一資料として検討の素材にしないのでしょうか。更に、学部で、全学教授会で討議資料としないのでしょうか。

A理事会体質こそ点検対象に

 「準備委員会」規定の検討事項には、「管理・運営」が入っています。これは、私たち組合や、全学教授会、各学部教授(員)会が何度も主張し、要求した「点検評価は<全学>で」という視点を反映させた項目です。教員評価だけが点検対象ではありません。三菱総研のパンフレットは、教員評価のみです。経営体質をも含む<全学>の評価も依頼したのか、という私たちの問いに、「依頼していない」との回答。文部省に二度も虚偽報告をした理事会こそ、真っ先に点検対象とすべきであり、これをこそ、三菱総研に依頼すべきです。

B「衛藤問題」と同じ体質

 三菱総研への教員評価の依頼は「理事会の方針」(松村常務)で、今年1月になされました。委員会で検討をさせながら、他方で別のものをトップ・ダウンで出してきて、これに従え、というやり方は、「衛藤問題」の時と全く同様です。この時、理事会は「公選制を求める有志の会」代表との会合を何度も行いながら、突如、衛藤学長の選出を、会合にではなく、マスコミに一方的に発表しました。こうしたやり方は、委員会で真摯に議論を重ねる人々に冷水を浴びせる、背信行為です。

 

 

With 批判

With No. 12を読んで  一組合員より投書

 先日配布されたWith NO12の一面は「明日の法学部発展に向けて」と題して、初谷学部長辞任を受けて三浦学部長事務取扱のもと、魅力ある法学部の再建に向け、法学部教員は一致結束して努力してほしいとあった。この一文の論理的矛盾については「組合ニュース 第160号」がすでに指摘しているので繰り返さないが、私が気になったのは以下の点である。即ち、この一面の記事と一番最後の「後記」との関連性である。「後記」は「選挙の結果が必ずしも正しくない」具体例として加賀市議の汚職事件と元(ママ)大阪府知事横山ノックの不祥事を挙げ、ここに「多数決原理に基づく民主主義の落とし穴がある」と主張。そして最後に「リーダーを選ぶ上で、本当に重要なのは、票の多さではなく、選ぶ側としての責任の意識と見識の高さである」と結んでいる。この「後記」の主張と、初谷学部長辞任という「憂慮すべき事態」の淵源は今春の学部長選挙の投票結果にあり、初谷氏に投票した法学部教員の見識が問われるというWith一面の主張は平仄が合う。学長や学部長を選挙で選ぶのは、えてして間違いが多いから、「選ぶ側としての責任の意識と見識の高い」理事長に任せておけばいいのだといわんばかりである。あるいは、「リーダーを選ぶ上で、本当に重要なのは、票の多さではな」いからこそ、さきの学長選挙で得票率6割の候補者ではなく、3割の候補者を学長として選任したのであり、そのことが「選ぶ側としての責任の意識と見識の高さ」の証明であるとでもいいたいのであろうか。

それにしても、「後記」が横山ノックの不祥事を挙げて、「民主主義の落とし穴」を説くのはあまりにも短絡であり、さらに上述の「リーダーを選ぶ上で、本当に重要なのは、票の多さではなく、選ぶ側としての責任の意識と見識の高さである」という結論の前半は民主主義の根幹の一つである代表選出制度(選挙制度)を否定しかねない暴論であり、後半はあまりに陳腐であると言わねばならない。横山ノックであろうが田中角栄であろうが、はたまた戦犯の岸信介であろうが、選挙制度は彼らを選んだ有権者の「選ぶ側としての責任の意識と見識の高さ」を常に問うているのである。さらに重要なことは、こうした代表選出制度が多くの欠点をはらみながらも、今なお有効なのはこの制度の公開性にあることは言うまでもない。選ばれる側の政策、見識、人格等々すべてが、また選ぶプロセスが常に公開される点が重要なのである。

 最後に、「後記」のような主張が個人的見解として述べられるならまだしも、学内の「機関紙」に掲載されるのは誤解を生じるおそれがあろう。民主主義の理念にかかわる代表選出制度についての否認的見解は、法学部をもつ総合大学としての権威を大きく失墜させるものと懸念される。もし、学外の高校の教師がこの「後記」をお読みになったら、生徒を当学の法学部へお勧めになるであろうか。このようなWithの主張は、政治学科を中心に、改組を含めて「受験生の心を強く引き付けるため」の方策を必死に模索中である法学部に冷水を浴びせるものであり、法学部の教員にとっては後ろから鉄砲玉が飛んでくるようなものである。受験生の減少という厳しい現実をまえに、過去のいきさつを乗り越え、法人と教学の協働体制を願う我々教員にとって、今回のWith一面と「後記」の主張はまことに遺憾と言わなければならない。一面の記事のサブタイトル「責任ある行動・発言」はそっくりそのままWith子にお返ししなければならない。

 

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