北陸大学教職員組合ニュース第167号(2001.1.30発行)

 

法人理事会・理事長は仮処分命令の歪曲をやめよ!

 いったい、この泥沼を法人理事会はいつまで続ける気なのか?1月16日に出された金沢地裁による初谷良彦教授の地位保全の仮処分命令決定書をそのまま素直に読み、そのとおりに理事長・理事会が実行していれば、ことの多くはすでに解決していたはずである。素直に読んだ学生をこんなに傷つけることもなかっただろう。

 1月29日に配布された中川専務理事名の文書においても態度は変わらず「すでにご承知のとおり、先の金沢地裁決定は、授業を実施するなど、同氏の就労についてはこれを明確に却下しています」として、仮処分命令決定書の中でそう書いているかのような書き方をしているが、決定書を読めば、そんなことはまったく書いていない。中川理事の文書は、決定書を自分たちに都合のいいように曲解して、その読み方をあたかも裁判所の決定事項であるかのように記述したにすぎない。教職員で命令決定書を直接読むことのできるのは必ずしも多くないことを利用した詐術的行為である。

 金沢地裁の地位保全命令の決定書の読み方については、すでに組合ニュース165号でも触れているが確認しておく。「大学教授という職務の特性に照らすと、元来、年度の途中で退職、転職するというのは、教授自身の研究条件等にとっても、教育を受ける学生にとっても、不利益が大きく、特段の事情がないかぎり、年度末である3月31日をもって退職、転職するのが通常であると認められる」(決定書6ページ)。このような判断で地位保全が命令されたのだから学生に授業を受けさせるのは当然だろうし、ましてや、初谷教授に立入禁止の掲示を出すなど烏滸の沙汰である。

中川専務理事名の文書ではわざわざ資料までつけて、立入禁止の正当化をはかっているが、添付資料の中の、法人が正当化のよりどころとしている文章には「特約のある場合や特別の技能者である場合を除いては」という部分がある。つまり、大学以外の一般の会社でなら法人の主張には正当性を認めることも不可能ではないかもしれないが、地裁の地位保全命令決定書に「大学教授という職務の特性に照らすと」とあるように、初谷教授の職務の特性を認めたから金沢地裁は地位保全が妥当と判断したのである。一般論を持ち出しても筋違いである。添付資料は法人の措置を正当化するものではまったくない。むしろ法人理事会・理事長がいかに裁判所の命令文書を不正確に読んでいるかを示しているといえる。

法人理事会・理事長はもう法律ごっこをやめにすべきである。道具立てが仰々しいほどこっけいにみえるだけである。学生を愚弄するのももういい加減にしなければ本当に取り返しのつかないことになるだろう。

 

 

 裁判費用 カンパのお願い

 

初谷教授は、20001227日、日本刀の件で北元理事長を相手に慰謝料を求める訴えを金沢地裁に起こしました。更に、2001125日に今度は学校法人北陸大学を相手に同様の提訴を行いました。

 

今回の大学の混乱の主要な原因は初谷教授を、1222日という学期途中の日付で退職させたことにあります。金沢地裁の「地位保全の仮処分命令」(2001116日)は、まず大学教授の職務に「特殊性」を認めた上で、次のように判断しています。「元来、年度の途中で退職、転職するというのは、教授自身の研究等にとっても、教育をうける学生にとっても、不利益が大き」い。

「仮処分命令」では、更に退職日の決定の経過についても言及しています。法人側は、「就業規則において退職の時期は理事長が決定することと規定されている(同規則202項)と主張する」が、「理事長において、職員の意志に反してこれと異なる退職時期を自由に定めうるとの主旨であるとするならば、これは、労働者の退職の自由を不当に制約するものとして効力を有しないものといわなければならない」。初谷教授の意志に反して退職日が一方的に決定されたことが不当であると認定されました。

初谷教授は、こうした「仮処分命令」を受けて提訴した今回の一連の裁判では、理事長により日本刀を「喉元に突きつけられた」(北陸中日、2001127日)として、理事長と法人をともに訴えています。

 

 私たち教職員組合にとり憂慮すべきは以下の点です。

1)私たちは、日本刀が抜かれるような危険な職場環境では、教育、研究、事務活動 を安心して行うことはできないといえます。

2)私たち教職員組合は、結成以来、就業規則に見られる、何事も「理事長が決定」 するというシステムを変えるよう主張してきました。特に今回は学生の利益を無視して理事長の意思を優先させる憂うべき事態が生じています。

 

以上の2点で、今回の初谷教授の提起した訴えは、組合の一貫した主張と根幹の部分で一致しています。現在、大学は裁判所により地位保全の命令が出たにもかかわらず、初谷教授が研究室、大学建物に入ることを禁じる措置にでています。

 先日の組合大会で、まず支援カンパをすることと、裁判費用の一部を組合が支援することとなりました。ここに初谷氏の裁判を支えるために、組合員の皆様に、裁判費用のカンパを募ります。

 

 執行委員に届けて下さるようお願いいたします。

 

         2001年 1月 30日 北陸大学教職員組合執行委員会