北陸大学教職員組合ニュース第179号(2002.6.24発行)

 

余りにも現実を無視した、大学側の回答

ボーナス:今年度は平均4.3ヶ月

 

6/19(水曜日)に、大学側より今年度の年間一時金(ボーナス)4.3ヶ月の回答がありました。これはまた同日、全教職員に、事務局長名の「お知らせ」の形で配布されました。詳しくは、組合ニュースの裏面にその全文を掲載しましたのでご覧下さい。組合側の要求は、5.7ヶ月というものです。6/21(金曜日)に、大学側のボーナス4.3ヶ月回答をめぐって最初の団交が行われました。以下、二つのポイントにしぼって、団交でのやりとりを報告します。

 

今年度の帰属収入、5億円の減収

大学側が今年度の年間ボーナスを平均4.3ヶ月にするという最大の根拠は、今年度の帰属収入が5億円減収するとの見通しにあります。具体的な数字は、以下の通りです。

          2001年度            2002年度予算

  帰属収入全体  62億9000万円         576000万円

  人件費比率   43.5 %             43.9 %

  人件費総額   273000万円         253000万円

なお人件費の総額には非常勤の手当てなどが含まれます。

このように、大学側は今年度の帰属収入(その約90%が学生の納付金)が、昨年より5億円減少することにより、人件費比率43.9%に基いて、そこから人件費総額を割り出し、結果として、今年度のボーナス、平均4.3ヶ月という数字を得たと主張しています。

  また、今年度、帰属収入5億円の減収予想の内訳は、以下の通り説明されました。

  2002年度、 総額で5億円減収の内訳   (全体で−5億円)

        学生の授業料など納付金の減収    −3億5000万円

        入学試験の検定料の減収       −4000万円(一人30,000円)

        国からの補助金の減収        −4000万円

        今年度退職金の増額による減収    −9000万円

これに対して、組合側の反論は、今年度は薬学部で学生数の大幅な増加があり、外国語学部・法学部での学生の減少を合わせても、「35000万円の減収」は納得できないというものです。これについて大学側は、退学者数を考慮に入れている、減収予想を立てた時期が現時点とはズレがあるなどと弁明しましたが、結局のところ、今年度「5億万円減収」の詳細は、十分に明らかにされたとはいえず、次回の団交に持ち越しということになりました。

 

ボーナスの学部間格差

次に大きな争点となったのは、薬学部と外国語・法学部の教員間で、また一般職員との間でボーナスに格差をつけること、更に教員についても業績評価を行い人事考課をボーナスに反映させることが、現状において、良いことであるか否かというものでした。

大学側は、薬学部教員にボーナスの差をつけたことに関しては、今年は薬学部の学生数が増加したこと(従って収入が多い)、教育上の負担の増加、さらには同窓生からも薬学部に配慮するようにとの声があることを理由に挙げました。これに対して、薬学部の教員組合員からは、自分たちが求めているのは学部間でボーナスに格差をつけることでなく、食堂や校舎など主に施設面の改善であり、プールやコミュニティハウスなど、太陽が丘キャンパスばかりに新しい厚生施設が建てられるのはおかしいというものです。

  そもそも、学部間でボーナスに格差をつけるというのは、日本中の他の大学でもほとんど聞いたことがありません。このような発想は、仮に百歩譲って、大学側の言うように個人の業績や貢献を評価するためであるとしても、現状では、逆に学部間の分断、教職員間の分裂を生み出し、大学内を混乱に陥れることになるのはまちがいありません。

 理事長を始め、大学当局および学長は、機会あるごとに、大学をめぐる困難な現状を打開するために、「教職員が一丸となって」とか「学部の教員全員が力をあわせて」教育と研究の向上や入学志願者の増加のために努力してほしいと呼びかけて来ました。ボーナスの学部間格差は学部の分断、教職員の分裂と混乱を生み出す意味でも、これに矛盾しています。

例えば、ボーナス0.7ヶ月減少とか学部間格差を前にして、直観的にも感情的にも、だれに、教育と研究・志願者増大のために努力する力が涌いて来るでしょうか? 一部の人々は、それで満足するかもしれませんが、大多数の人々にはヤル気は生まれないでしょう。さらに、新たに教員の平成14年度賞与を、学長が客観的に把握できるデータをもとにして各人ごとの業績評価を行いプラス考課として行うとしている点については、その具体的評価法の詳細な説明がされず今後の問題として残された結果となりました。

いずれにしても、大学側が実施しようとするボーナスの学部間の格差、教員の業績評価による格差は、今後大学あるいは学部で、教職員間でのまとまりや協力が生まれるとは考えにくく、組合は、本学の現状では断じて認めることができません。

この他にも、団交ではボーナスの支給式を取りやめ、銀行振込にするとの提案が出されましたが、これも次回に持ち越されました。最後に、組合員・非組合員を問わず一人でも多くの方が、6/26(水)の組合大会に参加され、教職員が一致団結されることを望みます。(以上)

 

 

 

 

平成14619

北陸大学教職員組合

執行委員長 澤西 啓之 殿

                            学校法人   北陸大学

                            労務担当理事 松村 幸男

                回 答 書

 

平成14年度給与改訂について、下記のとおり回答します。

 

              記

  1. 平成14年度給与改訂
    1. 本俸、諸手当を含めた給与体系の改正を提案する予定である。

  2. 平成14年度賞与
    1. 年間の賞与支給月数を平均で4.3ヵ月とする。
    2. 教育職員については、各学部の志願者数・入学者数・定員充足率等を考慮して、学部間格差を設けるとともに、客観的に把握できるデータをもとにした各人ごとの業績評価を行い、プラス考課として支給する。なお、学部間格差、個人の業績評価の賞与への反映は、年末賞与時に一括して行う。
    3. 一般職員については、従来の人事考課によるプラス支給分の幅を大きくする。

 

○夏季賞与

  教育職員 2.0ヵ月

  一般職員 一律分1.7ヵ月、人事考課分 00.5ヵ月、計1.72.2ヵ月

  なお、支給日は、75日(金)とする。

 

○年末賞与

  教育職員         一律分     業績評価分      計

薬学部・留学生別科   2.0ヵ月    01.0ヵ月   2.03.0ヵ月

   国際交流センター  

  外国語部・法学部     1.6ヵ月    01.0ヵ月   1.62.6ヵ月

  *情報センターは、発足後まもなく、評価要素も該当しないため、上記の幅の中で個々の実績により決定する。

一般職員         一律分     人事考課分      計

               1.8ヵ月    01.0ヵ月    1.82.8ヵ月

○年間賞与合計

  教育職員         一律分     業績評価分      計

薬学部・留学生別科   4.0ヵ月    01.0ヵ月   4.05.0ヵ月

   国際交流センター  

  

外国語部・法学部    3.6ヵ月    01.0ヵ月   3.64.6ヵ月

  *情報センターは、発足後まもなく、評価要素も該当しないため、上記の幅の中で個々の実績により決定する。

一般職員         一律分     人事考課分      計

               3.5ヵ月    01.5ヵ月    3.55.0ヵ月

(注)1. 月額算定基礎額は、本俸、管理職手当、扶養手当、調整手当(1)の合計額

   2. 夏季賞与においては平成14531日現在、年末賞与においては平成141130日現在、勤続6ヵ月未満の職員及び学校法人北陸大学給与規定第27条に該当する期間がある職員は、その勤務時間に応じて支給する。

                               以上