北陸大学教職員組合ニュース194号(2003.7.22発行)



平成16年度からの「国際人養成学部」計画:

理事会は「凍結」の勇断をせよ!



新学部が宙に浮いている。いまだに文部科学省の賛同は得られず、来年度の学生募集活動もままならない状態である。この時期に至ってなお学生募集活動を行うことができないことがいかに異常であるかは言うまでもないだろう。理事会はいったいいつまでこのようなことを続けるつもりなのか。大学をつぶそうとしているとしか思えない。

 今回の新学部の件は、そもそも話の最初からおかしかった。平成14年の始めに、12月に理事会で外国語学部の存廃を決めるという話が突然わいて出て、12月末の理事会で2学部4学科での学生募集は平成15年度までと決定された。しかし、では、そのあとどうなるのかに関して、外国語学部の教授会でも法学部の教授会でも一切知らされず、一部の関係者のみのあいだで秘密裏にことは進められていた。そして、薬学部で定員の増加の発表があったのが527日、外国語学部で「国際人養成学部」のおおまかな構想のみが発表されたのが72日である。その半年間のあいだ、大学の将来に関して何ら正式の発表はなく、ただ「検討中」ということだけがときどき教員には知らされただけである。しかも、7月第4週目のこの時点で文部科学省の許可は出ていない。いったい何をしているのか。

 さらに問題なのは、新学部の中味である。「国際人養成学部」には法学部の後身となる「未来社会創造学科」と外国語学部の後身となる「未来文化創造学科」とを設置するという。両学科とも現行の学部の名称から遠く離れた名称であり、その名称から想像するかぎり、授業内容が大幅に変わることになるのだろう。では、その大幅に変わる授業内容の科目は誰が担当するのだろう。現在外国語学部、法学部にいる教員が担当するなら、その内容、授業名について教員側に相談があってしかるべきだろう。しかし、現在までのところ、それはない。相談を受けたという話も聞いていない。まったく秘密になっている。

もし、現在いる教員が担当しないのなら、新たな教員が担当するということになる。来年度からの新体制なのだから、もうすでに教員の確保も行われていなければならない。しかし、私たちの知るかぎり、それも行われていない。いったいどうなっているのか。

仄聞するところによると、711日に、新学部については、文部科学省から学部名・学科名に注文がついただけでなく、概要と中味とが乖離しているという意味の指摘もあったそうである。これは、新たな方針の学部・学科のはずなのにそれを裏付ける授業科目となっていないという意味だろう。世間並みの言い方をすれば羊頭狗肉と言うことではないのか。文部科学省は、婉曲に「詐欺みたいなことをしてはいけない」と言おうとしたのではないか。その指摘に応じて新しい皮袋に新しい酒を入れようとするなら、当然時間がかかる。学生募集はまた遅れることになる。これ以上遅れれば本当に取り返しのつかないことになる。また、文部科学省の許可を得るだけのための、短期間での間に合わせの作業から、本当に魅力的で中味のある新学部など誕生するはずもない。

ここで従来どおりの募集を再開してもこれまでの遅れは容易には取り戻せないだろう。しかし、ここで中途半端な新学部案を強行すれば、それこそ再起不能となりかねないような決定的痛手になるだろう。

河島学長は、昨年10月から教員を集めて「ブレイン・ストーミング」をやっている旨、何度か表明しているが、いったい、その「ブレイン・ストーミング」に参加している教員は誰なのか、学長は一切明らかにしていない。はっきりしているのは学長周辺の一部の教員と理事会だけで今回の新学部構想を練っているということである。つまり、大学の大多数の教員の経験と知恵はまったく反映されない状況でサバイバルのための新学部を検討しているのである。愚かとしか言いようがない。

あせることはない。全学の知恵が生かせるような体制を構築し、もう一度原点にかえって構想を練り直せばいいではないか。新学部を何が何でも来年度から発足させねばならない必然性はまったくない。つまらない見栄はほどほどにして、ひくべきときにはひくべきである。それが真に責任あるものの態度だろう。新学部構想はひとまず凍結すべきではないか。

薬学部の定員増加に関してはすでに薬学部の教員から多大の懸念が表明されている。また、来年度から法科大学院を発足させようというときに、法学部を廃止するのが本当に賢明なのか?外国語学部や法学部のアイデンティティが消えてしまうような新学部構想が本当に生き残りのための有効な手段となりうるのか?もう一度、じっくりと再検討すればいい。今こそ、理事会の経営責任が問われている。



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