北陸大学教職員組合ニュース218号(2004.9.16発行)


『賞与は給与ではない』:

理事会、賞与規程を給与規程から削除することを意図

 法人理事会は、97日に教職員組合に対して就業規則・給与規程の改正案を示しました。字句の修正などを別にすると、今回の改正案には現在わかっている段階で大きな問題がいくつかあります。

 一つは、従来、賞与規程については、給与規程にも就業規則にも存在していたのを、給与規程から削除し、就業規則にのみ、改正した上で内規を付して残すことにしたことです。賞与に関する規程はすべて給与規程から抹消し、賞与を給与ではなくする、というのが今回の改正案の眼目です。

以下が、賞与についての就業規則の現行のものと改正案です。

現行

(賞与の支給)

67条 学校法人北陸大学の業績を勘案し、理事長が可能と認めたときは、賞与を支給することができる。

2 賞与は、職員の勤務成績等を考課して別に定める。

改正案

(賞与の支給)

67条 教育成果の達成度、業績及び勤務成績を考課・勘案し、理事長が相当と認めたとき、定期に支給される給料とは別に賞与を支給することができる。

今回の大きな問題は、現行では「大学の業績を勘案し」となっており、大学の財政状況との関連で賞与の支給が決まることが示唆されていますが、改正案では、大学の財政状況とはまったく無関係に賞与が決められます。つまり、大学の財政がどんなに豊かでも、理事長が「教育成果が上がっていない」と判断すれば賞与は出ないのです。

さらに問題を含んでいるのは、「学校法人北陸大学賞与支給内規」という改正案運用のための内規です。これは現行の給与規程にある、賞与に関する規程をもとに作られたと考えられるものですが、この内規には重大な欠陥があります。現行の給与規程の賞与に関する規程では、たとえば「賞与は、原則として本俸、管理職手当および調整手当(1)の月額合計を基礎とし、特別職および嘱託職員については本俸月額を基礎とする。」(第26条)とあり、賞与の内容について明確化しています。ところが、提案されている内規には、それが全くありません。また、現行の規程では、「賞与は、原則として夏季と年末に分けて支給することができる。」となっていますが、新しい内規では、それもなくなっており、いつ支給されるのかわかりません。そして、提案されている内規には「この内規に定めのない事項については理事長がこれを定める」とあり、賞与の内容も支給時期も理事長が決めることができるようになっています。

現在、法人理事会が出している賞与に関する改正案は、生活に直結する、賞与という極めて重要なものに関する規程でありながら、肝心なことは明文化されておらず、はっきりした基準も全く示されていないのです。はっきりしているのは理事長権限の強化だけです。理事長の裁量で、賞与支給の一切が決定できる――このような改悪は断じて許せません。

もう一つの問題は給与の支払日についてです。現在、給与は毎月25日が支払日となっており、25日が休業日、例えば、土曜日となった場合にはその前日の24日が支払日となっています。ところが、改正案では、そのような場合には月曜日、つまり27日に給与を支払うようになっています。つまり、支払日を遅らせるというのです。その理由として改正案の担当者が出したのは、「人が少なくて仕事が間に合わない」というものでした。言語道断です。

そもそも給与の支払日である25日が休業日なのか就業日なのかということは年度当初で分かっていることです。それなのに「間に合わない」として遅れを認めさせるというのは、無能を棚に上げて職員に犠牲を強いるということであり、これまた、断じて許されるものではありません。

今回の給与規程・就業規則の改正案においても際立っているのは、理事長権限の強化であり、職員に犠牲を強いることをためらわない精神構造です。教職員の間に、現在の業績評価・人事考課に強い不満と不信感があるのはすでに指摘するまでもありません。しかし、理事長・理事会は、さらにそれを強化しようとしています。しかも自分たちの所業についてはまったくの棚上げで、不祥事の責任を明らかにしたことは一度もありません。世間で言う手前勝手のみごとな実例です。その一方で、例えば、食堂の価格が教職員に対しては今年4月から突然20%前後値上げされました。仕事の量が格段に増え、労働強化が進んだ割には、賃金はほんのわずかしか上がっていませんから、食堂を利用する多くの教職員にとっては賃金切下げにも等しい処置です。働く者の福利厚生の向上に努めるのが経営者の当然の義務ですが、この職場では経営者は自らの福利向上にのみ極めて熱心で、職員に対しては、犠牲を強いることしか念頭にないようです。これだけ教職員を粗末に扱う大学は全国でも皆無と思われます。

給与規程・就業規則の改悪に対して、教職員組合は断固戦っていく所存です。皆様の一層の御支援・御支持をお願いいたします。上記の件で、皆様の御意見など執行委員にお寄せいただければ幸いです。メイルボックスもご利用ください。