北陸大学教職員組合ニュース219号(2004.10.13発行)



法人側、就業規則・給与規程改正の合理的根拠示せず


924日(金)に平成16年度第5回目の団体交渉が行われました。教職員組合は、平成15年度、16年度の給与改定交渉を含め、数々の懸案事項があるので、すでに716日の時点で団交開催を申し込んでおきました。これまで度重なる団交開催要求にもかかわらず、法人理事会は2か月間に渡って団交を拒否し、やっと開催に応じたものの肝心の平成15年度、16年度の給与改定交渉のための資料は一切用意されていず、誠実に交渉しようという態度はまったくありませんでした。

団交の冒頭で、組合は法人に対し、業績評価、人事考課に関するアンケート結果及び理事会の大学運営に関するアンケート結果をまとめた北陸大学教職員組合ニュースの216号、217号を2部ずつ手渡し、団交出席要求を無視した北元理事長、河島学長に渡してくれるよう依頼しました。

今回法人側が団交を開催したのは給与交渉のためではなくて、すでに、組合ニュース218号で説明しました就業規則と給与規程の改正のためでした。組合側はニュースで取り上げた問題点を中心に法人理事会を追及しましたが、いずれについても法人理事会から納得のいく説明はされず、こちらの指摘に対しても改正案の「再検討」や「修正」ということばはまったく出されませんでした。

以下、重点項目の概要です。


◎ 給与規程から賞与に関する規程をはずすことについて

法人:給与と賞与とは性質の違うものだから給与規程には入れない。

組合:どう違うのか。

法人:賞与は臨時のものであり、給与と違う。

組合:賞与も給与も賃金であり、生活給であることに変わりはない。現在の給与規程から賞与をはずす必然性は全くない。


◎ 就業規則の現行規定を改正案のように変更することについて

以下が現行と改正案です。

現行

67条 学校法人北陸大学の業績を勘案し、理事長が可能と認めたときは、賞与を支給することができる。

2 賞与は、職員の勤務成績等を考課して別に定める。

改正案

67条 教育成果の達成度、業績及び勤務成績を考課・勘案し、理事長が相当と認めたとき、定期に支給される給料とは別に賞与を支給することができる。


組合:改正案では、賞与を出すかどうかを財政と無関係に決めることができる。いくら財政的に問題がなくても、理事長が「成果が上っていない」と判断すれば賞与は出さなくてもいいことになる。そのような恣意的判断が可能な規則は問題が多すぎる。

法人:賞与を出せるか出せないかについては、二つの前提がある。一つは財政状況である。これは変更案に書いてはいないが、改正案の「業績」というのは大学の業績という意味だから、財政は当然考慮されることになる。もう一つの前提は成果が上っていることである。

組合:財政状況を考慮するなら、ちゃんと変更案にも入れればいいではないか。変更案の「業績」というのはふつうの読み方をすれば「大学の業績」とはならない。財政について全く何も書いていないということは財政とは無関係にやるからではないのか。ここでの「業績」ということばは、ふつうに読めば個人の業績だ。また、変更案で使っている「教育成果の達成度」というのは、全体のことなのか、個人のことなのか不明である。

法人:このままの文で問題はない。

組合:しかし、教育成果の達成度によって賞与を決めるというなら、全体なのか個人なのか、何をどういう基準でもって「考課・勘案」するのか明確にしなければならない。この改正案の文は問題が多すぎる。現行規定のほうが二段構えでまだまともである。また、アンケート調査でも判明したように現在の人事考課にはほとんどの教員が不信感を持っている。そのようなときにこのような賞与の案は論外だ。


◎ 賞与に関する改正案の内規では賞与の支給時期も賞与の算出根拠も明示されていないことについて

法人:支給時期は、教員はすでに年間3回の支給となっており現在の給与規程とはちがっている。今回の賞与の内規では、支給時期は明示されていないが、今までどおりで支給の予定だ。その都度組合と交渉して決めていく。賞与の算出根拠もそうだ。その都度、交渉でやっていく。

組合:今までどおりにやるならなぜ賞与規程から支給時期や算出根拠の条項を削除するのか。残しておけばいいではないか。だいたい、日本の社会ではローンなどを組むときは、夏冬のボーナス払いというのは社会的慣習だ。それをくずすようなことは職員にとって大きな不利益になる。生活できなくなる。

法人:今までどおり出すから心配する必要はない。

組合:それならちゃんと従来どおりの支給時期を明示すべきだ。

法人:ここでちゃんと今までどおりと言っているから必要ない。

組合:今までどおりやるなら規程から削除する必要はない。規程に支給時期も支給額の算出根拠も従来どおりのものを残すべきだ。


◎毎月25日の給与支払日が休日になった場合、支払いをあとに遅らせることについて

法人:現在のままでは仕事がまわらない。人が足りない。共済掛け金などの計算も間に合わない。

組合:今まで30年間やれたことができないはずがない。できないとすれば、それができるような体制を組むのが理事者の仕事だ。つけを職員にまわすというのはとんでもない話だ。銀行との関係もある。いろいろな被害の起きる可能性がある。

法人:無理なものは無理だ。銀行のほうは問題ない。休日は動かない。

組合:そうは思えない。経営努力をするのが当然だ。海外の銀行とのこともある。被害がないと断言できないだろう。もっと真剣に職員のことを配慮すべきだ。


なお、上記のやり取り以外に、以下のような発言が団交の席上で法人よりありました。

第5回団交は法人に対して組合が指摘した問題点を再検討するよう組合が要求して終了しました。


 第6回団体交渉は、929日に行われました。冒頭で組合は前回の団交のとき手渡した組合ニュースを北元理事長、河島学長に渡してくれたかどうかを確認しました。河島学長には渡したという返答がすぐにありましたが、理事長は、と訊ねると法人は明確な返答をしませんでした。

今回は、第5回の団交をうけて法人側が何らかの変更案なり修正案なりを出すことを組合側は期待していましたが、法人側は、まったく態度を変えませんでした。つまり、前回同様の合理性・説得力のない説明を繰り返すだけでまったく話し合いにも交渉にもなりませんでした。団交を「交渉をした、説明をした」というアリバイ作りの場所としてしか法人が認識していないことは明らかでした。

就業規則・給与規程の改正案の関係以外に、団交中、以下のような発言が法人からありました。


就業規則・給与規程の改正案については再度団交をやる予定です。関心のある方は、執行委員までお問い合わせください。