北陸大学教職員組合ニュース222号(2004.12.17発行)

北元理事長、組合三役の会見要求完全無視


 北陸大学教職員組合は、法人が提案している就業規則・給与規程の改正案について、北元理事長に三役と会って話し合いをするように再度求めて、会見申入れ書を提出してありましたが、北元理事長からは今日に至るまで一切会見に対して回答がなく、完全無視が続いています。ここには組合の声に誠実に耳を傾け、組合と協調して大学運営を行っていこうという態度が一切見られません。北元理事長は大学の最高責任者でありながら、自らの責任で問題解決に当たろうとしないし、当たることもできない――そのような人物で、果たして現在の厳しい状況を乗り切ることができるのか、答えは火を見るより明らかです。

 

9回団体交渉報告

 平成16年度の第9回団体交渉が121日(水)に開かれました。議題は、給与改定・賞与に関してでした。法人理事会側は相変わらず、組合が要求している予算書・決算書などの財政資料を出さず、不誠実の限りを尽くしています。そして、北陸大学の今年度の賞与の予定支給額が、石川県庁を上回っていることや平均給与(平成16年度の教員の平均給与が約840万円(平均年齢48歳)、職員は約680万円(平均年齢43歳))が、民間の一部上場のトップクラスの企業(NECなど)と比較して遜色ないという説明が繰り返しされました。ここは大学であり、民間企業ではないので、そのような比較は全く無意味である、との組合側の反論に対して、理事会側から一切具体的な資料は出されず、民間と比較していかに高給であるかという無意味な論が繰り返し力説されました。大学の人員構成は民間企業とは全く違います。

また、教員の移動はふつう大学間で行われます。ですから、いくら北陸大学が民間と比べて良くても、他大学より待遇が悪ければ、他大学から優秀な教員は呼ぶことができませんし、また、採用されて働き始めたとしても、すぐに他の大学に転出してしまうことは目に見えています。このようなことを抜きにして、民間と比較して見ることがいかに愚劣であるか、いまだに理事長も理事会も分かっていないようです。

他大学との比較については、法人側は全国平均を下回っていることは認めましたが、地域差とか、大学規模とかいろいろあり、一概には言えないという極めてあいまいな回答に終始しました。

なお、大学の広報誌WithNo.6,平成169月)に示された今年度の人件費の予算は、24.578億円(帰属収入の41.7%)です。今回の団交で、専任教職員の人件費総額が17.112億円(帰属収入の29.0%)、となることが明らかになりました。その差額は実に7.466億円となります。このうちで、退職金と非常勤の人件費以外が役員報酬のはずです。組合はさらに詳しい項目毎の数字を明らかにするよう理事会を追及していく予定です。

 今回の団交では、教職員数に対する学生数の推移表が示され、「全国と比べると本学では教職員数に対して学生数が少ない」ということが繰り返し強調されました。例えば、教員1人当たりの学生数は、北陸大学は、平成12年は21人、平成13年も21人、そして平成14年は20人で、これに対して全国平均は、平成12年は34人、平成13年は33人、平成14年も33人です。また、職員1人当たりの学生数は、北陸大学は、平成12年は39人、平成13年は37人、平成14年も37人で、これに対して全国平均は、平成12年は50人、平成13年は49人、平成14年も49人です。これを教職員1人当たりで計算し直すと、北陸大学は、平成12年は14人、平成13年は13人、平成14年も13人なのに対して、全国平均は、平成12年は20人、平成13年は20人、平成13年も20人、です。つまり、いずれの数字も北陸大学では、全国平均と比べて、教職員数に対して圧倒的に学生数が少ないことをはっきり示しています。

では、これは何を意味するのでしょうか。「教職員の数に対して学生数が少ない」ということは、学生数の割に教職員の数が多いということです。学生数は大学の収入の大部分を占めていますので、「教職員の数に対して学生数が少ない」ということは、収入の割に教職員の数が多いということになります。そうなると、ふつうは、人件費がかさむことになります。つまり、総帰属収入の中で人件費の占める割合が高くなるはずです。ところが、人件費の割合は、全国平均は50%前後なのに比し、北陸大学にあっては41%前後の超低水準です(図1参照)。

図1


教職員1人当たりの学生数が少ないのに人件費が少ない場合、二つの理由が考えられます。一つは、学費が高いので、収入が豊かである、もう一つは、教職員の給与が低い、ということです。我が北陸大学の学費は全国のトップクラスです。また、教職員の給与も全国の平均以下です。北陸大学の場合は両方の理由とも当てはまるということです。即ち、北陸大学の人件費依存率(人件費/学生納付金x100)は50%以下であり、全私学の平均と比較して、何と20%も低いのです(図2)。

 図2

では、トップレベルの学納金の50%は、人件費以外のいったいどこに使われているのでしょうか? 組合の経理公開要求はことごとく拒否され、詳細は不明です。教職員の給与を低水準にして人件費を低く抑えた残りのお金は、少なくとも学生のために有効に使われていると言えるのでしょうか?施設などの条件の悪さについては、学生から多くの不満が出ているのは現場の教職員の間では周知の事実です。例えば薬学部では、狭い食堂で、その混雑を回避するために、数年前から学年によって授業時間をずらして、「時差昼休み」で対応してきました。食堂が新築された本年度でも、この状況に変わりなく、常に最低限の施設と言えましょう。学生には、高い授業料にふさわしいだけの条件を確保してもらっているという感覚はほとんどありません。理事長も、団交に出席している理事たちも、大学の財政が良好であることを繰り返し言っていますが、実態は、集めた金を学生に還元しているわけではないし、教職員に相応の給与を出しているわけでもないのです。

「全国と比べると本学では教職員の数に対して学生数が少ない」ということを示す数字は、実は北陸大学の経営者が、大学の経営にふさわしい経営を全くやっていない――学生からも教職員からも搾取している――ということの証左にすぎません。



なお、新潟県中越地震の直後に、薬学部の教員が突然現地の本学学生の家族の訪問を命じられたことについては、どういう経緯でその決定があったかは「分からない」というのみで詳らかにされませんでした。また、余震が多発していた地域へ突然派遣したことに対しては「問題はなかった」との認識が示されましたが、組合は、雇用者として安全面での配慮が万全であったとは思えないとして抗議しました。

また、前回の団交で学長が「担任(アドバイザー)としての活動実績は業績評価に入れない」ということを明言しましたが、なぜ、そうするのかの理由説明がありませんでしたので、理由を明らかにするよう求めました。これに対して法人側は「学長に確認する」ことを約束しました。さらに、業績評価の賞与への反映はやめるように改めて要求しました。