北陸大学教職員組合ニュース259(2007.11.29発行)


2回団交続報

理事会、私大教連加盟教組からの不当労働行為中止要請に応えず


 私大教連加盟の約70の教職組は、927日に北陸大学理事会に対し、石川県労働委員会命令の遵守を要請していた(「組合ニュース」255号)。1115日の団交で、組合はその対応について質問した。理事会側は、中労委に再審査申し立てをしたことを理由にあげながらまったく対応していないことを明らかにした。組合は、中労委の当事者は組合と理事会であるから、他からの要請に対して応えない理由にはならないことを指摘した。理事会側は「聞いておく」との反応にとどまった。不当労働行為に関しては、組合は、入試志願者への影響に配慮して話し合いによる早期自主解決を提案したが、理事会側は「今ここで話して支障があるといけない」とするのみで、自主解決への意欲は皆無であった。しかし、理事会は何故3名の教員排除にこだわるのだろうか?不当労働行為事件も解雇事件も、理事会側は入試への影響はないと発言したが,公的判断が出された以上、志願状況に影響なしとは考えられない。私たちは、大学のためには理事会が再審査申し立てを取り下げ、早期解決に向け組合と柔軟に話し合うことを求める。


時間外労働報酬は適正か?

 今年度の三六協定は、太陽が丘キャンパスでは各職域代表によって協議された。その結果は労働基準監督署へ届けられる。しかし、この協定は時間外労働に関する協定であるので、その報酬については協定されていない。協定の対象となる時間外労働及び休日労働は入試業務や最近とみに多くなってきたオープンキャンパスなどの各種イベント、休日に実施される検定試験対策講座や試験監督などである。以前は、教育職員に対しては、組合結成後いわば紳士協定の形で、常識的な対象に対し適切な手当てが支給されていた。入試手当や検定試験監督料(主催者から送付される)などである。現在ではその一切が支払われず、3月賞与の際に考課対象とされるということである。しかし、その考課ポイント及び金額の実態は当事者にも明らかにされていない。時間外手当を賞与に含めること自体が不当であるだけでなく、理事会は、不当労働行為事件での石川県労働委員会の求釈明に対して、考課ポイントは数段階に区分されるので点数の程度によっては評価ランクは変わらない、という意味の補足説明をしており、考課対象とされても実質的に賞与に反映されない部分も生じ得る。

 職域代表は、当人には評価の実態を知らせるように、また、以前検定試験合宿講座担当者に支払われていた図書券程度は復活支給するように、と要求していた。今回の団交では、組合は時間外及び休日労働の対価を正当な報酬として支払うこと、労働基準法によれば、労働日の1.25倍の賃金であるが、大学の場合は特殊な面があるので、報酬等について組合と協議することを要求した。理事会側は「代休を出している」と言うだけで、改善についての発言はなかった。入試手当等の諸手当は、教職員組合だけでなく教授会にも説明されず、一方的に廃止された経緯があるが、今後は、時間外・休日労働についての協定は、代休だけでなく、報酬も含めて包括的に締結されるべきであろう。なお、薬学部キャンパスにおいては今年も三六協定は結ばれなかった。


賞与は「賞」なのか?

 先ず始めに確認しておきたい。労働基準法第11条は、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めている。そして、同法の第2条は、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの」と定めている。一方、労働組合法では、労働組合は「自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」とされている。

 ところが、北陸大学理事会は、昨年の年末賞与支給の際には、賞与額に関する組合との協定を拒否し、各教員に「賞与は特段の功績・貢献に対して称える『賞』として位置付ける」(松村常務理事及び河島学長平成18128日付通知書)と通知した。この種の文書は平成15年年末賞与支給時に上乗せ支給された「努力賞」から始まる。その時「来年の更なる前進・発展に向け・心を込めて感謝の気持ちをお渡し」するとされたが、年末賞与については特に言及はなく、「日常の教育・研究等の努力に応じて対応させていただく業績評価による賞与を(明年)317日にお渡しする予定(河島学長平成15125日通知書)と書かれた。その2年後には「地道な精進とその結果としての成果・貢献度に伴うものが報酬となります」(松村常務平成17129日付通知書)と説明され、3年後には上記のように一方的に「賞」という位置づけとなった。今年の夏は、「今回の支給は適切と考えておりません」、「成果のない支給は今回を最後とする覚悟」(河島学長平成19622日付通知書)と通知された。

 賞与交渉においては、平成15年度までは形式上曲がりなりにも確認書が交わされたが、平成16年以後は、今年の夏季賞与のように団交前に支給されるなど、交渉らしい交渉はなく、理事会決定の一方的な通知のみになった。昨年末の交渉時も、組合の一律金要求に対し、理事会はそれには回答せず、一律金相当の上乗せ分をあくまで「努力賞」のような「賞」の形にすることにこだわった。(次ページに続く)

就業規定及び給与規程のH16年改定は届け出なし

 このような強硬姿勢への転換点に、就業規則と給与規程の改正がある。平成16年のことである。この年の97日、理事会は組合に対し就業規則と給与規程の改正案を示した。これは各教員にも「(案)」として配付された。改正の主旨は主として賞与の扱いにあった。この案には多くの問題点があった(「組合ニュース」218号)。その後の団交(924日)において、組合はその問題点を指摘したが、理事会側の回答は、総じて、今まで通りだから問題ないという主旨で、合理性のある説明はなかった(「組合ニュース」219号)。それにもかかわらず理事会は組合に「同意書」提出を求めてきたので、組合は理事長との面会を2度申し入れた。しかし、面会は2度とも拒否され協議は進展しなかった。組合は翌年3月に金沢労働基準監督署宛に意見書を提出し、再度協議した上で改正を届け出るように監督官庁から促すことを要請した。問題の改正案は、その後、施行日付が入らない「(案)」の状態で、HUネットに掲載されている。3年を経た現在、「北陸大学規程集」には収録されていない。

 今回の団交で、この改正は届け出されていないことが明らかになった。即ち、「そのままになっている」ということであった。したがって、施行日の日付なく、監督官庁へ届け出もされず、規程集にも収録されていないこの改正(案)は、公式には施行されていない。それにもかかわらず、理事会は賞与の位置づけ変更のキャンペーンをエスカレートさせ、規程上の根拠なく、賞与交渉を実質拒否してきたのである。

組合は、賞与の位置づけについてはいずれ改めて組合と協定することを要求する。今は、賞与は、労基法で確認したように、大学規程とは関係なく賃金の一部であるから、今年度の賞与について、労組法に基づき、早急に組合と交渉することを要求する。組合としては、『With』記載の財務データだけでも大学の今年度の財務状況はきわめて良好と判断できるので、今年度賞与は給与月額の6ヶ月分を要求しても問題ないと考える。


訂正:組合ニュース258号、最後から7行目の必死は必至の誤植でした。



組合ニュースのバックナンバーはhttp://hussu.jpn.org/ をご覧下さい