北陸大学教職員組合ニュース260(2007.12.4発行)



3回団交速報


理事会提示:年末賞与0.2ヶ月減

−根拠の具体的説明なし−



 123日に今年度第3回団交が開催された。焦眉の交渉事項は年末賞与であった。組合は年度当初に年間月額給与の6ヶ月分の支給を要求していた。理事会側回答は、昨年度年末賞与比0.2ヶ月分減額という提示であった。ところで、理事会が提示したことは、最近の賞与交渉では絶えてなかったことであった。組合は10月に団体交渉について損害賠償を請求する提訴をしたが、今回の提示は、例え形だけにしても、その効果とも考えられる。

 提示内容は、夏季賞与と合算すると、年末時点で合計0.4ヶ月分減である。減額理由要旨は、「今日(123日)理事会決議配付とともに学長が説明したように、現実は厳しい。年度赤字であっても、すべて人件費に跳ね返るようなことは控えるが、今年度から緩やかに削減する」というものであった。組合は、それを数字で示すように要求した。組合は常に交渉に必要な具体的数値資料を要求しているが、理事会は今まで一般的な言葉による説明以上に、組合が求める人件費内訳等の経理資料を提出したことはほとんどなかったからである。今回も同様であった。組合は、10年前の『With Plus』の資料(当時は地域他大学や全国平均との詳細な年収、月額給与比較が団体交渉及び教職員への説明のために用意された)及び過去6年間の『With』掲載の経理計算書を参照して、組合要求は決して無理な数字ではないことを主張した。

 例えば、平成8年資料では教育職員の年収は50歳〜54歳で○○万円である。給与月額では、平成10年資料では52歳〜55歳教授で○○万○○千円(諸手当含む)である。組合は、これと比較して現在の水準は相当落ち込んでいることを指摘した。また、帰属収入は平成13年度から漸増傾向にあるが、人件費はむしろ減少していることを指摘した。逆に、大幅に増加しているのが教育研究費である。平成13年度では人件費よりも約○○億円少なかったが、今年度予算では約○○億円逆転し、人件費を約○○億円上回った。組合は、「意識改革」を呼号しながら、実は、人(教員)よりも、教育設備や教育政策を重視している結果ではないかと疑念を呈した。さらに、基本金(大学の資産)が、平成13年度と比較して大規模に増加していること(約○○億円増額で現在高は○○億円)を指摘し、人件費抑制の根拠がないことを主張した。現在までの資料によれば、組合要求は十分説得力があると考えられる。この主張に対し、理事会側からの数値による反論はなかった。というより、こうした給与及び賞与を決定する上での基本的な数字が、財経実務担当者の頭に常時入っていないかのように見受けられた。このことは、理事会が給与・賞与を決定する際に、何を根拠に決定しているのか、疑問を感じさせる事態である。少なくても教職員の給与実態を十分把握しているようには感じられなかった。

 理事会側は、具体的数字で反論する代わりに、「賞与は給与ではない」、「時節がくれば当然支給されるものではない」と一般の企業を例に主張した。しかし、組合は、大学は企業と違うこと、多少の増減はあっても一定の学納金を財源に、安定した経営基盤を有してきたこと、少なくても現時点では賞与の位置付けを変更する必要がないこと、年収の中に組み入れられて考えられるべきことを主張した。ともかく、重要な労働条件の変更に際しては組合と協議し、合意しなければならない。

 理事会側は、また、賞与は「教育業績」によって支給されることを主張した。しかし、組合側は、その「業績」は経営実績が問題であり、教育業績は金額に換算できないと反論し、教育業績によって支給と言うなら、それをどのように評価して0.4ヶ月分減額としたか、具体的に説明することを求めた。

 今回の団交では、年度当初の組合の要求に対し、理事会は、年末時点で夏季と併せて0.4ヶ月減を提示した。組合は、資料を根拠にその提示を不服とし、再度検討するように要求した。結論として、次回団交を、期日未定ながら賞与支給前に開催することで合意した。組合は、その時に理事会が0.4ヶ月分減額について数値をもって説明すること、理事会は組合主張を考慮し、年末賞与について再提示することを要求した。



今年度昇給は現行規程による交渉を!


今回の団交では、組合は給与についても昇給を要求した。これまで、理事会は新しい給与制度の構築を理由に3年以上にわたって給与交渉を回避してきた。しかし、いっこうに具体的な案が提出されず、理事会側担当者は申し訳ないというばかりであった。今回も、組合は前回資料として提出された「責任等級制度(案)」の概略について説明を求めたが、それが、かつての等級と号によって区分された俸給表とどう違うのか、運用の違いは何かという質問に対して、教員については別途検討との返事だけであった。組合側は、例えば、教授、准教授等の職位によるものならば、薬学部において1教室に教授は複数存在しうるのか、そのようなことは学部の運営に関わることだから、学部教授会における検討抜きにこのような給与制度は決定できない、とすると、結論が出るまでに相当時間がかかる、したがって、今年度はこれによって昇給を協議することは無理だから、現行制度によって昇給交渉をするように要求した。

ところで、123日に配付された「示達」には「大切なことは、悪しき平等主義ではなく、公正さにある」とある。しかし、ここ数年、教授昇進に際し、准教授昇進に際し、その他の昇進に際し、規定に基づき公正に取り扱われてきただろうか?今回提案されようとしている給与制度は、職位と密接に結びついている。組合は、「悪しき平等主義」を主張したことはない。教育については公正な評価は難しいこと、配置や昇進については明確な基準を欠く不明朗な人事であったこと、労働委員会も認める不当な差別が現に存在すること、を指摘した。確かに大学の未来に向け、現状を脱却し、意識改革が必要であるが、しかし、組合は、教学よりも理事会自身に、より自覚すべき点があると考える。今では言い古されたことであるが、組合は、給与問題一つをとっても、教学と理事会の相互の立場を尊重した協働関係を再構築することを改めて主張する。そして、理事会が公正な大学運営に向かうことを念願する。


次回団交は125日に決定!