北陸大学教職員組合ニュース270(2008.4.11発行)


「研究業績を待つまでもなく」、授業担当させよ


2008年3月19日(水)、第5回団交が行われました。

労務担当の松村理事は、2月19日の河島元学長に続いて、中労委の和解に反する発言をしました。

 松村理事:薬学部でも、大学が、全員一致協力してやらなければならない。

 教職組 :ならば、3人の先生を科目担当から外すのではなく、県労働委員会、中央労働委員会の判断に従って、担当させて、全学協力体制を造るべきだ。

 松村理事:それは、中労委の説明のように、論文を一本しあげるという条件でのことだ

教職組 :違う。論文は条件になっていない。中労委からの文章にきちんと書いてある。

松村理事:どこにある文章か。

 教職組 :(3月3日付けで、北陸大学の労使双方に宛てた中労委からの最新の文章を読みあげる)

「大学としては、荒川、田端両氏の研究業績を待つまでもなく・・・6年制薬学部の授業担当とする」(『教職員組合ニュース』269号)

第三者機関である、石川県労働委員会と中央労働委員会は、いずれの判断においても3人に科目を担当させることを大前提にしています。時系列に沿って、その判断を列挙してみます。石川県労働委員会「命令」は、歴史的文書として私たちの運動に刻まれています。


(1)07..23: 石川県労働委員会「命令」は以下の文面です。

@3人の担当外しは「不当労働行為」であり、「今後このような行為を行わないようにします」という文書を学内3箇所に張り出すよう命じました。

A「法人が組合の結成以来、組合に対して敵対意識や嫌悪感を抱き続けていた」

B法人が「組合活動を嫌悪し」、3人を「6年制薬学部設置に乗じて排除しようとの意欲をもってなされた」

C科目外しは、「他の組合員に対する見せしめ的な行為」であり、「組合に対する団結権を侵害するものと認めるのが妥当である」


(2)07..9:中央労働委員会で審議が始まり、最終日の1月11日まで続きました。この第1回目の8月9日に、中労委は、早くも3人に科目担当させよ、と大枠と方向性を示しています。科目外しが如何に不当であるかが一目瞭然です。

「本件事案の終局的解決の基本的方向に関し、佐倉直樹、田端淑矩および荒川靖を6年制薬学部の担当教員として取り扱うことを前提に・・・」(同252号)


(3)08..12:中労委『和解勧告書』 

佐倉、荒川、田端は、「実現可能な段階で、所定の手続きを経た上で、平成214月ま  での可及的速やかな時期に6年制薬学部の授業担当とする」(同268号)


(4)08..19:この日河島元学長は、明快に授業担当とする、という決定にもかかわらず、「論文提出が条件」と虚偽発言を繰り返しました。そこで教職員組合は、翌20日に直ちに中労委に「上申書」を提出し、経営側の和解書の意図的な曲解を訴えました。


(5)これに対して、3月3日付け中労委の回答が、冒頭の「研究業績を待つまでもなく」、授業を担当させよ、という文言です。



不誠実きわまりない団交姿勢:たび重なる約束違反


教職組は、賞与の支給を控えているために、08年2月26日に「団交申入書」を提出し、開催日時を3月3日(月)〜6日(木)までの間に設定するよう求め、回答期限を2月29日(金)としました。以下、順を追って報告します。


(1).13(木)林委員長、団交開催日の回答の催促に行く

高倉理事回答:「明日開催かもしれない。明日伝える」


(2).14(金)経営側から、何の回答もなし(約束違反)

夕方5:30に回答催促を求めて、高倉理事、人事課長に会う。

団交開催日の回答はなく、「3月17日(月)に回答する」と返事。


(3).17(月)経営側から、再び、何の回答もなし(再度の約束違反)

夕方5:30に団交開催日の回答を求めた結果、「19日」と回答される。


そもそも、「明日開催かもしれない。明日伝える」とは、交渉の手順の是非を論ずる前に、交渉を担う理事会の人間集団としての誠実さが全く存在しません。と同時に、組織としての計画性、交渉相手の予定を考慮する配慮と協働性にも欠けています。それだけではなく、「明日伝える」と約束しておきながら、これを反故にする体質は言語道断です。労働組合法は「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つこと」(第1条)を定めています。理事会の不誠実きわまりない姿勢は、この条項にも反しているのです。


 07年度の交渉は、給与、賞与ともに理事会側が何の提案もしないことから、これらは再び来年度に繰り越しとなりました。@人件費比率が全国平均より10%も低くA薬学部の高額授業料(全国5指に入る)、またB基本金が毎年15億ほどの蓄積で、現在312億に達し、極めて豊かな財政にもかかわらず、今年も、理事会は俸給表の見直しをしません。のみならず、「年齢給の廃止」(松村理事)すら口に出す始末です。断固闘わなくてはなりません。組合員の奮起を期待します。沈黙は、受諾につながります。


新執行委員会

3月17日、教職員組合の定期総会が開催されました。以下の新しい執行委員会が選出されました。今後も皆さんとともに職場の民主化、2人の解雇撤回闘争に努力します。

委員長  佐倉直樹            副委員長 木津治久、荒川 靖

書記長 田村光彰            会計 武野哲

執行委員 三国千秋、長岡亜生、田端淑矩  会計監査 島崎利夫


新執行委員長挨拶と今年度の活動方針

 今年度の組合執行委員長として、組合員皆様の要求を少しでも実現し、本学の健全な発展に寄与するように微力を尽くしますので、よろしくお願いします。林前委員長を中心に作成され、先の組合大会で承認された平成20年度の活動方針にそって所感を述べ、ご挨拶とさせていただきます。


 当面の組合活動の第一の課題は、2組合員教員解雇事件に対する裁判闘争です。この件は、大学開学以来の最も重大かつ深刻な労働問題です。昨年3月の解雇通告に対して直ちには金沢地裁に地位保全の仮処分申立てを行い、8月には、両教授の主張が全面的に認められる裁定がありました。完全な復職を勝ち取る本裁判には、組合も原告に参加しました。多数の学内外の教員、元本学教員、卒業生、一般市民が参加する「支援の会」と共同して、この闘いを継続します。私達は理事会の措置の不当性を訴え、立証して、裁判闘争で勝利できると確信しています。

 第二に、教職員の給与交渉、待遇改善が緊急課題です。本学の給与水準は、他の私立大学と比較して低く、その差は広がるばかりです。その原因は、就業規則に記載されている年令給と職能給の給与表のうち、前者のみを自動的に適用するだけで、職能給による昇給を平成14年度以来6年間連続して凍結しているからです。昨年度の団交では、組合は年度当初から給与交渉の早期進展を要求してきました。しかし、大学理事会は交渉に必要な財務資料の開示に応じないだけでなく、第5回団交(平成20319日)に到っても、昇給に関する具体的な提案さえなく、大学を取り巻く厳しい環境を抽象的に述べることに終始し、全く交渉になりませんでした。結局、平成19年度の給与は、平成20328日付で、組合の同意なく年齢給分の昇給が全教員に通知され、3月31日に差額の振込みが行われました。この事務処理によって、過去1年分の給与条件が1年遅れで一方的に通告されたことになります。

 このような団交での不誠実対応は昨年度に限ったことではなく、異常な労使交渉がビデオ録画を見るように毎年繰り返されています。この状況を打開する方策のひとつとして、組合は上記解雇撤回の裁判闘争の原告に加わり、法廷の場で不誠実団交に対する損害賠償を請求する闘いを始めました。大学当局の組合無視の姿勢は、社会常識と法律を背景とする公的な力によって変わらざるを得なくなるものです。組合は労働委員会を介して6年制薬学部担当外し事件を解決しました。組合のこの貴重な経験と実績が生かされる闘いになると思います。とは言え、外部の公的機関に依存することなく、給与交渉の突破口は本来自力で達成されるべきであり、それ故に皆様の知恵を結集することが大切です。どうぞご支援、ご協力をお願いします。


 活動方針の第三として、組合活動の再構築を計り、組合が力を保ち、現状を変革する拠点となることを目指して活動します。教育現場の教職員こそが北陸大学を真に支え発展させてきた主人公であるとの自覚と誇りをもって、私達の正当な要求と現場の声を大学当局に対して対等の立場で主張し、直接に話し合うことが北陸大学の真の発展になると考えるからです。平成7年の組合結成時の設立趣旨書と結成宣言(組合ホームページに掲載)には、私達の基本的人権の擁護、勤務条件の改善、教育・研究の充実とその条件の改善、大学運営の民主化、などが謳われ、それらの確立なくして真の大学改革もないことが宣言されています。原点を再度想起しようではありませんか。

 深刻な問題山積の北陸大学の現状ですが、「組合があるからこそ」と言える明るい展望を切り開く糸口を見出したいと考えています。どうぞ皆様の叱咤激励をお願いいたします。


                 平成20年度教職員組合執行委員長 佐倉直樹

         2008年4月11日



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