北陸大学教職員組合ニュース第6号(1995.10.27発行)

第4回団体交渉(10月23日)実施される



10月23日(月)午後5:30より、予定されていた第4回の団体交渉がありました。この日の団交は予定より15分あまり遅れて始まりました。まず冒頭に島崎副委員長が(土屋執行委員長が不在のため)、この間理事会側が組合との事務レベル交渉をいたずらに引きのぱし、給与表等の資料を提出しなかったことに強く抗議しました。このような理事会側の態度は、労働組合法に定める誠実交渉義務違反にあたります。

次に理事会側より改訂給与表が示され、説明がありました。この表とは、年齢給表、職能給表、等級別職務表、扶養および住宅手当基準、管理職の手当表からなるもので、これは現在新しい給与規程として配布されているのと同じ内容です。これを受けて組合側は、われわれが用意した確認書の内容を理事会側と一つ一つ互いに確認するため、この場で詰めの作業に入ることを提案しました。

今回の組合ニュースでまずみなさんにお知らせしたいのは、最終的に理事会側と確認したことの内容であり、以下にその全文を掲載します。この日の団交は、途中2回の短い休憩を入れて10:30までと4時間余りの長いものになりました。これは組合員の要求を何とか実現すべくねぱり強い交渉を続けた結果です。団交の様子を見守るために集まり、長時間待機していただいた組合員のみなさんに深く感謝いたします。


確認書



学校法人北陸大学と北陸大学教職員組合は、平成7年度給与改訂に関し、左記のとおり確認する。



一、給与改訂について

北国大学教職員組合提示の要求に対する学校法人北陸大学発平成7年9月22日「通知書」記載事項のうち、左の事項に従い給与を改訂する。
@ 「通知書」1−@記載のとおり、給与は年間支給額ペースで平均約21%増とする。
A 「通知書」1−A記載のとおり、今年度賞与は平均6ヶ月支給とし、扶養手当を算定基礎に入れる。
B 「通知書」1−B記載のとおり、扶養手当は配偶者を除く扶養家族の3人目以 降を、1,OOO円から5,500円に改訂する。
C 「通知書」1−C記載のとおり、住居手当は再校限度額を20,000円から27,000円に改訂する。
D 「通知書」1−F記載のとおり、初任給は教育職員修士終了助手の場合を221, 100円、一般職員大学卒業の場合を180,500円とする。

二、改訂時期について

平成7年度給与改定は、平成7年4月1日に溯って適用し、平成7年10月度給与支給日に、改訂済みの10月度給与と、平成7年4月より平成7午9月までの給与および平成7年度夏季賞与との差額を支給する。

三、附帯事項について
@ 「通知書」1−@記載の「個人別精査」は、、人事考課を意味しない。
A 「通知書」1−A、2−B記載の人事考課については、公正な考課の設定の為に、組合と協議する。
B 今回の給与改訂は、現行の給与規程の一部改正で実施するが、現行の給与規程の問題点について引き続き組合と協議する。
C 期限付き契約を締結している外国人教職員についても、今次給与改定の趣旨に照らし、日本人教職員に準じて配慮する。

四、未解決要求事項について

学校法人北陸大学と北陸大学教職員組合は、日本国憲法、学校教育法、私立学校法、民法、労働基準法、労働組合法他関係法規を遵守し、誠実に協議を継続する。

平成7年1O月25日
学校法人北陸大学
労務担当理事 西谷 朗 (角印)

北陸大学教職員組合
執行委員長 土屋 隆 (角印・丸印)




理事会側との攻防のポイントは主として3点であり、以下で解説します。確認書の内、特に問題の箇所となったのは、「三、附帯事項のA、C」です。
(1)「人事考課」について

これまで行われて来た「人事考課」なるものは決して公正とはいえません。したがって、仮に人事考課を行うとしたなら、「公正な考課」「基準の明示」「情報の開示」という三原則に従ってなされるぺきことを強く主張しました。そしてこの三原則が守られるぺく組合と十分に協議し、互いに確認されないかぎり、当面は人事考課を実施しないよう重ねて強く求めました。これに対し理事会側は特に「情報の開示」の項目が拡大解釈される恐れがあるという理由で拒否しました。「情報の開示」とは考課を受けた本人が不自然な人事考課だと判断した時に、その説明を求めるというものですが、これは当然の権利といえます。今回はこの点で理事会側の理解が得られませんでしたが、この「人事考課」の問題点については今後も冬のボーナス交渉において、ねぱり強く指摘していくつもりです。

(2)入試手当を「年間支給額で平均21%増」とは別枠とすることについて(これは確認書にもり込むことができませんでした)

この点について、入試は本来特殊業務であり、個々人の仕事の内容や時間によって支給額はまちまちであるので、これを年収ぺースに含めるのはおかしいと指摘しました。これに対する理事会側の説明は、今回の「平均21%増」に「入試手当」は実質的には含まれていないが、入試手当てを「別枠とする」という文言は削除して欲しいという何やらわけのわからないものでした。理由は、先に行われた理事会での決定のさいそうした表現はとらなかったからというものです。こうしたおかしな説明は、組合との団交の経過を無視して一方的に理事会で「平均21%増」と決定し、それを一方的に組合に通知するという、およそ団体交渉のルールを逸脱したことの結果と言わざるをえません。われわれとしては、今後こうした一方的なやり方を改めさせるよう要求していくつもりです。

(3)外国人教職員の給与アップについて

組合は、今回の給与改定にさいしては日本人・外国人教職員を問わず平等に扱うよう強く要求してきました。また期限付契約を交わしている人も同等の扱いをするよう主張して来ました。これに対する理事会側の回答は、外国人等の個人契約の場合は、音通の給与決定とは異なる仕方をとっているのでこれには応じられないという
ものです。われわれとしては、こうしたやり方は「グローパル・アイズ」の精神に反するのではないか、外国人に対する差別ではないかと反論しています。外国人等の個人契約の場合にもこれまでの低い給与水準に置かれていたことに変わりはないのだから、今回のぺースアップでは、個人契約の場合にも4月にさかのぼって同様の措置を取るよう要求しました。このような給与改訂に対する差別的な態度には断固反対し、それがいかなる根拠によるものかを厳しく追及していく必要があります。

最後に、理事会側から示された今回の給与改訂のモデル賃金表を右に指載しますが、組合員、非組合員にかかわらず、今回の給与改訂で不当な扱いを受けたと思われる方は組合の執行委員まで申し出て下さい。そして不当な扱いを受けたならば共に闘おうではありませんか!

○年齢は平成7年4月1日現在
○入試に関する手当は、この場合の年額計算には参入してありません。
★30才前後(助手)で扶養手当・住居手当の支給のない方
年額 420万 → 509万 21.1%up
(本俸 247千円 → 283千円 14.4%up)

★40才前後(講師)で配偶者と子供1人を扶養、借家の方
年額 636万 → 805万 26.6%up
(本俸 347千円 → 414千円 19.5%up)

★50才前後(教授)で子供2人を扶養、持ち家の方
年額 853万 → 1034万 21.2%up
(本俸 494千円 → 563千円 14.0%一IP)

★60才前後(教授)で配偶者を扶養、持ち家の方
年額1021万 →1179万 15.5%up
(本俸 589千円 → 639千円 8.5%up)
(調整手当を含む)


☆☆☆法律ワンポイント講座(2)☆☆☆
◇学校における教員の立場について

今回は学校の根幹に関わる法律である教育基本法についてふれてみる。皆さはその第六条二項の文をご存じであろうが、改めてここに記載する。

「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、 その責務の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなけれぱならない。」


前文に関しては、筆者は身を引き締めて仕事をするよう改めて肝に銘じている次第である。皆さん(含一般職員)も同様であろう。さて、後文である。筆者はふと「尊重」の意味がわからなくなってしまった。広辞苑をひもとくと、
@とうといものとして重んずること。
Aとうとく、荘重であること。
と記載されている。何だ、そうだったのか!ついでに「適正」も調べてみた。
@適当で正しいこと。
とある。

このように一つ一つの語句の意味を考えてみると、そこに記載されていることの、重大さに気づく次第である。

既成の概念(前例と読み替えても良い)にとらわれることなく物事を押し進めた場合、成功の暁には人々は斬新とか先見といった賛辞の言葉でたたえることが多い。役所などでの悪習のように思われる前例主義(前例にはないからできない。前例になるからできない)が物事の障害になることも確かである。しかし、法や習慣というものは長年にわたり培われ淘汰されてきた先人の教えである。これに対して深い洞察なしに、前例をやみくもに排除除することは、何人にも許されることではない。ましてや教育基本法を無視することなどは、論外である。