北陸大学教職員組合ニュース第12号(1996.3.15発行)

第9回団体交渉(3月6日)途中で打切り


中川専務、一方的に途中退席・・・



西谷常務の入院後初めて開かれた団交でしたが、これまで同様大学側は組合の要求をただ聞きおくだけで、依然として話し合いは全く進展しませんでした。
今回の団交では、組合は事前に以下の四つの要求項目を提示してありました。

@就業規則の全面的見直し
A給与規定の改訂
Bオリンガー講師の解雇撤回
C雇用に関する取り扱い内規の公開と交渉


このうち@およびAとついては、現行の就業規則には「理事長が…」という文言があまりに多すぎること(62箇所)、そのため何でも理事長が決めるという体質になっており、学長、学部長等、教学の責任者不在かもしくは無責任な体制になっていること、こうした大学運営の異状な事態を根本的に改めることを含めて、例によって回答は得られなかったものの、平成2年の就業規則を基礎として全面的改訂を行うことを強く要求しました。

Bオリンガー講師の解雇撤回については、理事会側は、現在裁判所にて係争中ということを理由に全く話し合おうとしませんでしたが、再度強く撤回を要求しました。

Cの〈雇用に関する取り扱い内規〉は、今回も組合側との事前の交渉を無視した全く一方的な押し付けであり、この点についても厳重に抗議しました。なおこの〈内規〉については、後で、その問題点を詳しく解説します。

最後に、今回の団交で最大の争点となったのは、「新任の教職員が大学当局と交わしている覚書き」の件でした。これについて、昨年11月22日の第6回団交で、西谷常務は、「この覚書きは三年後に契約を見直すとか、いわゆる三年契約を意味するものでなく、三年後に何か希望があれば聞くという程度のものであり、教職員に対する何らの拘束をも意味するものでない」と明言しています(組合ニュース第7号参照)。今回、組合側はこの点を明確に文書として記録に残すことを要求しました。これに対して中川専務は、「西谷常務の言ったことは事実であり、ここで私はそれを確約するが、文書にはできない」の一点ばりで、とうとう最後に、「これ以上は話し合えない。時間だ、行こう!」と突然席を立ち退席したので、事実上団交はここで打切りになってしまいました。つまり、中川専務といえども交渉に際し何らの代表権も決定権も持ってはいないことがまたしても明らかになったのでした。


職員の雇用契約に関する取扱内規

第1条 この内規は、学校法人北陸大学就業規則第8条第2項に定める職員の雇用に ついて、必要な事項を定めることを目的とする。

備考:規則第8条第2項「理事長は、必要と認めた者について、期限の定めのある 雇用契約を締結することがある。」

第2条 期限の定めのある雇用契約は、採用を希望する者について、理事長が必要 と認めた場合に締結する。

備考:必要と認めた場合とはいかなる場合であるかが明示されていない。

第3条 前条の雇用契約の期間は1年(以下、「契約期間」という。)とし、特別の必要がある場合は、さらに1年間更新することができる。更新後の再更新についても、また同じとする。

備考:再々更新後,期限の定めのない雇用契約を締結できる場合でも、試用期間が 実質的に3年であることを意味する。

2 前項の更新の期間は、全雇用期間を通じて、3年を超えることができない。ただし、薬学部勤務の一般職員の場合は、2年を超えることができないものとする。

備考:薬学部勤務の一般職員(実験助手)の場合にあっては、試用期間が2年という ことになる。

第4条 前2条に定める雇用契約は、契約期間の満了とともに当然終了する。ただし契約期間満了後、雇用契約を更新し、または期限の定めのない雇用契約を締結する場合は、契約期間満了の3ケ月前までに文書で通知する。

備考:3年間も身分が不安定な状態で、責任を持って教育及び研究を遂行できるだ ろうか。

2 前条第2項の全雇用期間を超えてさらに雇用する必要がある場合は、契約期間満了後、期限の定めのない雇用契約を締結するものとし、契約期間満了の3ヶ月前までに文書で通知する。

第5条 前条の通知については、学校法人北陸大学人事委員会規程により、人事委員会が契約期間中の人事考課を参考として審査のうえ理事長に答申し、理事長が決定する。

第6条 この内規の改廃は、常任理事会の議を経て理事長が決定する。

付則
この内規は、平成6年4月1日から施行し、同日採用の職員から適用する。

付則
この内規は、平成8年4月1日から施行する。

備考:今回,どのように改正されたのであろうか。


外国人職員の雇用に関する取扱基準

1.日本国籍を持たない職員の雇用は、職員の雇用契約に関する取扱内規(以下、 「内規」という。)により、期限付き雇用契約とする。

備考:労切基準法第3条「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由とし て、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」

2.前項の雇用契約の期間は1年とする。

備考:外国人の場合はなぜ期限付き雇用契約であるのか。

3.雇用契約締結後の取扱については、内規によるものとする。

備考:就労ビザ等の制約がある対象者であれば、理解できるが、その上限がなぜ 3年であるのか。国籍による差別的取扱いである。

4.この基準の改廃は、常任理事会の議を経て理事長が決定する。

付則
1.この基準は、平成8年4月1日より施行する。
2.外国人職員の雇用に関する取扱い方針は、この基準の施行をもって廃止する。
3.この基準施行以前より既に在職する職員で、次の条件を充足し、かつ本人が これを希望した場合は、期限の定めのない雇用契約とする。
@平成3年度(1991年4月1日〜1992年3月31目)以前の採用者または採用内定者(これに準ずるものを含む)であること。

備考:1992年4月1日以降の採用者の不利益についての具体的な手当が明示されて いない。

A教育職員においては、前号のほか、新たな学部設置認可申請に際し、大学設置学校法人審議会の教員審査に合格したものであること。

4.前項の適用のない職員については、契約期間の始期が平成8年4月1日以降である契約より内規に従うものとする。


総括


今回、初めて公表された「職員の雇用契約に関する取扱内規」及ぴ「外国人職員の雇用に関する取扱基準」は何を意味するのでしょうか。教育職員の人事については各学部教授会、教務委員会の重要な審議事項であるにもかかわらず、このような内規等を一人歩きさせれば、適当な人材は確保できるものでしょうか。今回の団交において、「ここ数年の間に、管理局や外国語学部では20数人が退職している。この現実をどう思いますか。」との組合側の発言に対して、使用者側は「管理局においては現在、職員数が増えている。」?


さらに近い将来、現職員に対しでもこのような雇用契約を求めてくる可能性を否定できません。このように職員を締めつけることが仕事の効率を高めるでしょうか。何が得られるのでしょうか。結局のところ、本学の将来に危機をもたらす結果となり、法人側が自らの首を自ら絞めることになると思われます。また、このような期限の定めのある雇用契約は実質的な試用期間の延長を意味するものであり、職員の組合不加入を心理的に強制する不当労働行為であります。

今までの団交経過を見ますと、およそ交渉にはなっておりません。都合の悪いことには口を閉ざして答えようとはしません。本当に信念を持って教育機関である本大学の運営を行っているのであれば、すべての問いに答えられると思うのですが−−−。今こそ、組合員は一致団結して、事に当たるぺきであると思います。執行部も精一杯頑張りますので、何とぞよろしくお願いいたします。

これまでの経過については、北陸大学教職員組合活動報告(1995年7〜11月)、第6回団交(95'11.22)についての組合ニュース(第7号)及び第8回団交(95'1.19)についての組合ニュース(第10号)を参照してください。


オリンガー講師解雇撤回について


前回の組合ニュースでお知らせしましたように、外国語学部オリンガー講師は、2月13日に金沢地方裁判所に地位保全の仮処分申請をしました。これに対して大学側は2月26日に、8人の弁護士を代理人として、答弁書を提出しました。それによると、大学側は、こちらの主張を全面的に拒否しています。拒否の理由については、解約通知書に書かれていたことをさらに詳述するものもありましたが、今までまったく触れてこなかったことまでも、今回は解雇理由の一部としてきました。これは、オリンガー講師との間に取り交わした契約書の中で、契約を解約する場合は理由を文書で明記するとしてあることを無視したものとなっています。つまり、解約通知書を出す時に、その理由はすべて示されなければならないのに、今になって別の理由を付け足してきたのです。これは、大学側は、自分たちの当初の主張にいかに自信がないかを自ら露呈したものとなっています。しかも、出された内容は今回の解雇通
知がいかに不当であるかをさらに裏付けるようなものばかりでした。その詳細については、いずれ報告をする機会があるかと思いますので、ここでは触れません。ただ、「大学側の主張は、教職員および学生の言論の自由を踏みにじる、かぎりなくファシズム的なものであり、現法人の正体をいよいよ明らかにするものである」ということだけをお伝えしておきます。

上記答弁書に基づいて、準備書面を提出し、3月1日に第1回の審尋(非公開)が行われ、無事に終了しました。次回の審尋は3月中に行われる予定です。

組合は、これから、署名活動・カンパなどを皮切りにオリンガー講師の支援活動を強化していきます。インターネットの活用も予定されています。組合員の皆さんのさらなる御支援をお願いいたします。


組合ニュースの配付について


組合ニュースは組合員以外の教職員の方にも広く読んで戴けるように心掛けておりますが、もし、組合員の方を含めて、配付が行き届いていない場合がありましたらお近くの執行委員にご連絡下さるようお願いいたします。