北陸大学教職員組合ニュース号外(1997.10.2発行)

号 外

 

スト権確立

 

学生父母へ手紙で通知する

 

 教職員組合は、先日の組合臨時大会で採択され、9月25日を期限とする「スト実施の是非に関する投票」の結果、皆様の圧倒的多数で承認され、スト権が確立されました。これにより、現在、スト実施に向けての計画を策定中であります。私ども組合員は、北陸大学の一員であり、あくまでも公教育を担う教職員であります。組合執行委員会は、スト実施に当たっては、学内外の動向を見ながら、慎重に進めたいと考えています。皆様のご協力をお願いします。

 先日の大会で合意されましたように、学生ご父母へスト権の確立と組合の立場を伝える手紙の準備をして参りましたが、10月1日より父母宛に発送を開始いたしました。もとより、ご父母は学生を本学に負託し、期待を寄せる最大の学内関係者であり、私ども組合へ理解をいただき、応援していただく立場の方々でもありますから、この手紙に対してご父母から寄せられるご意見があれば、それもあわせて検討して行きたいと思います。ここに、ご父母に送付した手紙を添付します。

 

 

 

北陸大学在学生・ご父母の皆様へ

 

 朝夕めっきり涼しくなり日一日と秋が深まってまいりましたが、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は北陸大学に対し格別のご厚情を賜り、誠に有難うございます。本日は甚だ不躾かとは存じましたが、大学の教職員組合として、本学の実情と私たちの決意の程をお知り戴きたく、筆を取った次第でございます。

 さて、先般の「有志の会」の代表からの手紙にもあったかと存じますが、現在、北陸大学の理事会は文部省から異例の厳しい行政指導を受けるなど、まことに困難な状況に置かれております。私たちは、この様な状況にある北陸大学を元の正常な職場にもどすことを願い、平成七年七月、大多数の教職員の参加により教職員組合を発足させたところです。

 本学をめぐる諸々の困難な状況の中でも、私たちがことのほか心配し、関心を持ってまいりましたのは、本学の教育・研究環境の急速な、かつ著しい悪化であります。数えあげればきりがないのですが、学長・学部長の問題の他に、労働基準監督署から厳しく改善を勧告された時間外手当の不払い、悪質な教職員いじめ、教員の研究室への無断侵入、あげくには教職員組合が利用する会議室から盗聴器が発見され、組合の役員に探偵事務所の尾行がつくという異常な事態・・・。皆様の子女が学んでおられる北陸大学は、今日およそ学問の府にそぐわない殺伐とした事柄に満ち満ちているのです。私どもの願いは、一刻も早く教育と研究に専念できるような明るいキャンパス、普通の職場を取り戻すことにあります。

 私たちは、神聖な教育に携わる者として、給与のことなどあれこれ問題にしたくないというのが正直なところでありますが、教職員の給与水準は、全国の大学の平均から三割から四割も水を開けられるという状態が続いておりました。私たちは皆様の子女をお預りする教職員であると同時に、大切な家族を抱える一人の生活者でもあり、せめて世間並の待遇をと願う気持ちにもご理解を賜れればと存じます。加えまして、教員の待遇の悪化は優秀な人材を職場から去らせることを意味し、ひいては教育の質の低下につながることがあります。本学では先に述べましたような殺伐とした環境と待遇の劣悪さに嫌気がさして職場を去る者が後をたたず、教職員二七〇名の職場で、ここ数年の離職者数はなんと八〇名を超えております。教育機関は人材こそが命と心得ておりますが、こうした事態は大学の存立そのものにかかわる極めて深刻なものとして受け止めざるを得ません。

 ところで、ご父母の皆様におかれては誠に恐縮なことに、本学は全国的に見てもかなり高額な学費をご負担戴いております。私たちも一人の生活者として、皆様のご苦労の程に深く深く思いをいたすものであります。その貴重な学費を頂戴しているなかで、大学が見識ある経営方針のもと、学生のための教育や教育施設を積極的に拡充し、その結果私たちの給料が低くなってしまうのであれば、生活が楽でなくとも、ある程度受け入れる必要もあろうかと思っております。しかし、本来学生のために使われるべきものが他の用途に回されているとするならば、問題は別と言わざるを得ません。このことで、私たちは理事長に対して、皆様の学費と国からの補助金の使い道、つまり大学の経理を教えてほしいと求め続けてまいりました。

 しかし残念なことに、理事長はこの経理の公開をかたくなに拒み続けています。ただ、こうした要求を続けていくなかで、少しずつその使い道の一部がわかりかけてまいりました。その一つが「有志の会」の手紙にもあった三億円の退職金等々の事実です。普通の経営者であれば、「会社が苦しいので、私も我慢するから皆さんも我慢してほしい」となるところなのですが、私たち一般教職員の給与水準を引き下げ、退職金を削減するなどの苦労を強いる一方で、自分たちはお手盛り感覚で報酬を増やすということだったのです。こうした事実の数々に囲まれますと、私たちは疑問を抱かざるを得ません。理事長がかたくなに経理を公開しないのは、非常識なまでの高給を自ら受け取り、実父である前理事長に法外な退職金を支給したこと以外にも、皆様に知られては困るようなことをしているためではないのかという疑問です。

 そうした疑問を強くさせる一つの事実として、この三月の文部省の行政指導で、「虚偽報告」として問題になりました超豪華なサウナ施設の建設があります。このサウナは大学の施設であるにもかかわらず、これまで学生には知らされておらず、また高額な利用料が設定されているので学生は当然利用できません。理事長などごく一部の人しか利用していないのに、現在も皆様の授業料を使って稼働しています。こうした事実のほかにも、巷では、理事長の家族が役員を務める会社の経営が極度に悪化したため、それらを実質的に支えるべく大学のお金が流れているのではないかとか、業者からのリベートや、教科書販売にまつわる疑惑などの噂すらささやかれております。私たちもまさかとは思っておりますが、理事長が経理を公開しないなかにあっては、真偽のほどを確かめる術をもちません。

 私たち組合は、昨年以来、大学の教育環境をまもるために、「教職員が安心して働ける職場への改善」、「文部省からの厳しい行政指導を受けた理事会の刷新」、「教育体制の正常化のための学長・学部長の公選制度」などを求めて交渉してまいりましたが、理事長をはじめ理事会の対応は極めて不誠実で、自分達の不都合なことには返事もなさらないといった有様です。

 理事長は、私たち大多数の教職員の願いをご自分に対する嫉妬に過ぎぬと評しておいでのようです。私たちはこの話を聞き、心の底からの悲しみと落胆を禁じ得ませんでした。さらには、関係官庁から数々の問題を指摘された今になっても、釈明されるどころかまったく体質や感覚さえ改める気配すらお見せにならない理事長を、いやしくも最高学府の機関の長に戴き続けることの不明を強く認識せざるを得ませんでした。

 私たちは、北陸大学を教育と研究に専念できる明るい職場に戻すため、一人の生活者として家族を守るため、そして在学生と卒業生が胸をはって母校の名を口にできるようにするために、理事長が真摯に反省し、その体質を改めていただけるまで、組合としての最後の手段をも辞さぬ覚悟でのぞむ決意を新たにしております。

 我慢に我慢を重ねてまいりました私たちですが、先日の教職員組合の大会で、投票によってスト権が確立されました。学生や皆様にご迷惑をおかけすることは極力避けたいと念じておりますが、先ずはこのことをご通知申し上げ、私たちの立場にご理解を頂ければ幸甚に存じます。

 ご父母の皆様におかれましては、私たちに対し色々とご意見があろうかと存じます。是非とも率直なご指導、ご鞭撻を賜りたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

 

平成九年九月二十八日 北陸大学教職員組合

執行委員長 土屋 隆(薬学部教授)

 

追 伸  組合ニュースなどいくつかの資料がございます。ご入用の方は組合までお申し出ください。早速送らせていただきます。

 

連絡先 外国語学部・法学部 九二〇一一 金沢市太陽が丘一の一 北陸大学 

                        (電)〇七六ー二二九ー一一六一

            櫻田 芳樹(外国語学部教授)、岡野 浩史(外国語学部教授)

          島崎 利夫(法学部教授)

 

     薬学部     九二〇一一 金沢市金川町ホー三  北陸大学薬学部

                        (電)〇七六ー二二九ー一一六五

            澤西 啓之(薬学部教授)、吉藤 茂行(薬学部教授)