北陸大学教職員組合ニュース No.100(1997.10.30発行)

  

今頃になって、なぜ? 

中川専務理事 行政指導の内容を説明

 

 本学の法人理事会が3月18日に文部省から第1回の行政指導を受けて以来、教職員組合は指導内容の説明を理事会に求めてきましたが、6ヶ月以上経過した10月中旬になって急に全学部、事務局で中川幸一専務理事による説明(会)が行われた。いままで説明を拒否してきた理由について、中川理事ははっきりとは言及していないが、文部省から急がされている「教学との協働関係の確立」、とりわけ学長選考に関して教職員の理解を得るために行政指導について説明しておく必要があるとしている。

 しかし、今回の説明は法人理事会の自発的な行動ではなく、“行政指導に従う”最も基本的な姿勢として、文部省によって指導されたものと思われる。なぜなら、説明することが当たり前であるにもかかわらず、それを拒んできた法人の不遜な姿勢が、文部省からの9月の第2回目の行政指導となり、10月にはさらに厳しい対応を迫られる結果となったからである。

 行政指導の内容説明により明らかになった虚偽報告など法人理事会の不祥事や、不適正な大学運営についての責任、行政指導を受けたという大学の信用上の責任に加えて、この6ヶ月間の法人の指導に対する不誠実な対応で、全学教授会に象徴されるように学内を混乱させ、教学との協働関係の確立どころか信頼関係をも悪化させた責任は重大である。理事会は、もはや自分勝手な理屈でことは済まされない事態になっていることを認めるべきである。

 「経営責任がある」と称して前理事長に法外な3億円もの退職金を支払い、自分達も高額な報酬を受け取っている北元喜朗理事長をはじめ理事達には、その言葉通り経営責任をぜひ取っていただきたい。学生と父母、そして8000名を越える卒業生の気持ちを思えば、昨今の報道をにぎわしている多くの企業陣のように、社会常識にもとづく道義的責任についても学内外に見えるかたちで示すべきです。組合はこのことを強く要求して行きます。

 

 なお、指導内容は、組合ニュース第65号に記載されている組合が当時得た情報のものと同じであることがわかりましたが、今回の内容説明と法人の対応についての詳細は中川理事の説明のメモをもとに、次号に改めて掲載します。

 

 

父母からの手紙

 

 組合から父母への手紙に、多くの返書をいただきましたが、その一つをここに紹介します。またカンパも寄せられています。組合と父母との新しい絆に、感動です。

 

 貴組合からの手紙を拝見しました。先日「有志の会」から送られた手紙を見て、「これは何事か」と思い、理事長への怒りと、学校運営に関しての不安を感じましたが、今度の手紙でさらにその思いが強くなりました。これは由々しき問題だと思います。指摘されたさまざまな問題点は、どれひとつとってみても、教育の現場ではあってはならないことです。述べられているとおり、それはまさに教育の悪化であり、心身ともに学生たちへの影響が心配されます。本来大学生活は楽しいところのはずです。わたしたちは子供が、大学のなかで、喜びと充実した生活を送ってくれることを願っています。そのために、学生や教職員の方々の自由でさまざまな活動や学問が保障されているはずです。そしてそのために保護者は多額の授業料を出しています。しかしその授業料の使途が指摘のように不公平であり、不明瞭であり、さまざまな問題が出てくるなら、親の願いに反することになります。理事長の経理非公開はそれだけでも、親として断じて許せません。相手が組合であろうと個人であろうと公開すべきです。ましてや、学費横領という刑事事件の対象にもなるような疑惑もあるとすれば、これは重大な問題で、非公開や不誠実などを理事長の勝手だと、見過ごすわけにはいきません。理事長は事の本質を理解しているのでしょうか。それにしても、私学であろうと何であろうと、公開しない「経理」など本来あるべきことなのか、不思議なことです。これは、すべてを大学まかせ、の保護者にも一端の責任があるかもしれません。

 この不況の中で離職者八〇人は異常です。大学運営の危機が感じられます。組合の結成と活動に理解ができます。またおそらく強固な組合活動がなければ、理事長の勝手な横暴は阻止できないでしょう。理事長としてあるべき姿・態度を認識させ、責任をどうとるのか、を明確にさせるために、組合がストを行わなければならないなら、わたしは一保護者として支持するつもりです。それは子供のより良い学校生活につながると思います。学生たちも教職員の方々の行動を理解し支持することと思いますし、またそれを自分たちの生きざまの糧とすることでしょう。

 先日、大学長名で地区別懇談会の礼の手紙が送付されてきました。その中で有志の会の手紙について触れておりました。懇談会には出席していないので、詳しいことは分かりませんが、この手紙の限りでは、保護者として納得できるものではありません。また文面には「いたずらに誤解を招く表現に満ちており」ともありましたが、有志の会や組合がわざわざ保護者や学生に、「いたずらに誤解を招く」文章を配布することもないなどすぐに分かります。

 組合員の皆様にはご苦労なことですが、経理を公開させ、真相を明らかにして、理事長に猛省を促すべく取り組んでいただくことを願っています。保護者に何ができるのか、学生たちはどのようにとらえ行動していくのか、子供とも一度話し合いをしたいと思っています。一日も早く教職員の方々や学生たちが安心と喜びの中で学問や諸活動に専念できることを願っています。

              ○○県○○郡○○町○

北陸大学教職員組合御中                     ○○ ○○(氏名)