北陸大学教職員組合ニュース第110号(1998.3.10発行)

 

ビラ配布非難は筋違い

法人理事会は責任の棚上げをやめよ

 本学法人理事会は、組合のビラ配布を批判し、「With Plus」を出した(2月26日)。文書の最後はこう結ばれている。「学内の問題は、当事者同士で粘り強く、誠意をもって話し合い、解決していくほかありません。大学人としての良識と冷静な判断に基づく行動を切に求めるものです。」 一見もっともらしく、いかにも「良識」的な文章に見えるが、法人理事会がこれまで組合や教職員に対してどんなことをしてきたかを少しでも知っている者にとっては噴飯ものでしかない。

 私たちがビラで訴えた「経理公開」はどうであろうか。大体、経理の公開というものは話し合って解決すべき問題ではない。理事会の責任においてなされるべきもので、まともな大学においてはどこでも行われていることである。話し合い以前の問題である。「良識」を失っているのは誰なのか。

 「学内の正常化」についてはどうか。教員の意思が反映された大学運営を求めて、学長・学部長を選挙によって選ぶことを教員有志が、教員の8割の署名を集めて理事長に提出したのはすでに2年前である。しかし、いまだに新しい学長を選ぶための規程は作られていない。なぜか。法人理事会が「誠意をもって」話し合わず、むしろ拒否してきたからである。一番最近の例は、全学教授会に対する理事会の態度だろう。一年近くをかけて審議をした上で3学部の支持をもって成立した「全学教授会案」を常任理事会はまったく受け入れず、それどころか圧倒的多数で否決された「常任理事会案」なるものしか認められないとしている。自分たちで話し合いを無視をしておきながら、私たちに「誠意をもって話し合い、解決していく」ように訴える法人理事会の態度にはあきれかえるしかない。

 この件では、理事会側はさらに「これ以上、教員側の案に執着するなら、裁判の結果が出るまで、学長選任規程は棚上げにする」という趣旨の脅しも同然の主張をしている。話し合いによる学内解決を放棄して司法という第三者の判断を待ってことを行うと主張しておきながら、組合がビラをまくと、今度は「当事者同士で解決をすべきである」と言って組合を非難する。まったく道理というものがない。しかもこのような相矛盾する二つの主張がわずか10日間ほどの間に行われたのである。破廉恥以外のなにものでもない。

 自己矛盾の最たるものは何と言っても北元理事長の態度であろう。交渉においては話し合いが大事だというのなら、なぜ自ら団交の席に出て話し合おうとしないのか。41回もの団交が開かれたにもかかわらず、自分では一度も組合との団交に出席して「粘り強く、誠意をもって話し合った」ことはない。しかも度重なる出席要求をすべて無視しての話である。言行不一致の典型である。

 理事長や理事会のでたらめは学生たちもわかっている。今回の文部省に対する「直訴」は当然だろう。学生たちは皆、過去にビラを配付しただけで「逮捕・監禁」された学生がいたのを知っている。あのとき法人職員は、自分たちを批判した学生と「誠意をもって話し合った」だろうか。理事長は「放学」のことばでその学生を脅したとさえいわれている。こういうことをしでかした理事長・理事会が話し合いによって問題解決をはかってくれるなどと、期待するほうが無理というものである。そして、これまでの学内問題に対する法人理事会の対応を目撃してきた学生たちは、現在の法人理事会が話し合いによって問題を解決するだけの当事者能力を欠いていることを見抜いていたのである。当然ながら、文部省もそのことを見抜いている。だからこそ、法人理事会に行政指導をしているのである。

 組合が街頭にまで出てビラ配布をせざるを得ないのは、法人理事会がまともな話し合いをせず、誠実に問題解決への努力をしないからである。おのれの怠慢と無責任を棚上げにしておいて一方的に組合を非難するのは不当である。そもそもビラに書かれているような問題を引き起こすことになった原因に思いをいたし、解決策を早急に提案し、実行できるものはすぐに実行すべきである。これ以上の遅滞は許されない。

 私たちは、わざわざ法人理事会に言われるまでもなく、これからも誠意と良識をもって話し合いを続けていくことに変わりはない。法人理事会に対しては、こちらこそが「With Plus」にいう「大学人としての良識と冷静な判断に基づく行動を切に求める」ものである。

 そして、北元理事長に対しては、理事長が退陣を拒むというのなら、すぐに団交に出席して、このことの話し合いをするよう強く求めるものである。

 

 

学生ご父母へ手紙を送りました

 

 「理事長の退陣要求」を掲げた今回の学生たちの活動が大きな出来事としてニュースなどで報道されました。学生たちがこのような行動に出なければならないほど、キャンパスが荒廃していることに私たちはショックをうけ、組合として大学正常化への取り組みの甘さに深く反省しています。執行委員会では、大学の実情を説明し、学生たちへのご理解をお願いする手紙を学生父母に送りました。

  学生には平穏なキャンパスで勉学させてやりたいという気持ちで組合は頑張っていますが、これからは、組合は有志の会とともに、学生やご父母と情報を交換し合い、連携して大学の正常化を目指さなければならない状況になってきたといえます。

 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 

                          北陸大学教職員組合執行委員会