北陸大学教職員組合ニュース第 141号(1999. 9.6発行)

「役員報酬は公開しない」:法人側、団交で明言

7月30日に平成11年度第3回目の団交が行われました。団交の席上、組合側は、7月15日の With 15 号での経理公開があまりにおざなりなものだったので、より詳細な経理公開、特に役員報酬を公開すること、さらに経理状況についての説明会を開催することを要求しました。

  1. 役員報酬の公開要求について

今回の経理公開では人件費が一括して3、056、447千円とされているだけでその内訳は一切明らかにされていません。教職員の給与は当然人件費に含まれ、さらに、理事長をはじめとする法人役員の報酬も人件費に入ります。ですから私たち教職員の給与の妥当性を検討するには役員報酬がどの程度なのか知る必要があります。

 かつて北陸大学の法人役員の報酬が大幅に引き上げられたとき、それと同時に教職員の給与表の大幅な改悪が行われました。そのため北陸大学の教職員の給与水準は全国最低となりました。組合設立後、平均で21%という大幅賃上げが行われ、また給与表も改定されましたが、北陸大学の給与は、昨年の法人が提出した資料に照らしてもまだ全国の平均に追いついていません。

 では役員報酬はどうなったのでしょうか。平成7年の役員報酬について、法人側は4名の理事が文部省のガイドラインを越える報酬を受け取っていること、また、その超過分だけ助成金を削られていることをかつての団交で認めました。しかし、その役員報酬が現在どうなっているのか――これはまったく明らかにされていません。

 団交で私たちは役員報酬を公開するよう要求し、是正がされたのかどうか、答えるよう要求しました。しかし、出席理事は「理事会の方針」という、まったく根拠にならない根拠をあげて、役員報酬の公開を一切拒否しました。

 法人は With 15 号において「人件費をはじめとする固定的経費の見直しを図り、確固たる財政基盤を確立することが早急に求められます」としていますが、それなら、まず役員報酬は適正な額に是正されたのかどうか、はっきりと数字で示し、それにもとづいて、なぜ今年はベースアップが昨年より2%も低くなるのかを全教職員に理解できることばで説明すべきでしょう。

 法外な役員報酬には手をつけず、教職員の給与は全国の平均以下に据え置くというのは、真に責任を負った経営者のするべきことではありません。

(2)経理状況の説明会開催要求について

団交の席上、組合側は今回の経理公開がされた理由について With15 号に書かれていたことにもとづいて法人側に確認をしました。これに対して法人側は、今回の経理公開は教職員に大学の経理状況を知ってもらい、信頼関係を築いて法人・教職員が一体となってさらに前進するためであるとし、教職員が経理状況についてよく理解することの重要性も認めました。そこで、組合側は、一般の教職員は With15 号に公開されたものだけだと数字の読み方もわからず理解もむずかしいので、よりよい理解ができるよう説明会を開催することを要求しました。すると法人側は、開く予定はないと言ったのみで、なぜ開催しないのかについては一切の説明を拒否しました。

 

 今回の「経理公開」が、経理を公開したという事実を作るためだけに行われたことがはっきりと露呈した団交でしたが、 組合は今後も、過去の年度も含めて、より詳細な経理公開を行うことを要求し、特に役員報酬については、是正がなされたのかどうか徹底的に追及する予定です。

 

名誉教授問題:第1回和解交渉が行われる

法人案「薮氏―Yes, 松井氏―No!」

 

8月27日石川県地方労働委員会(地労委)において第1回の和解交渉が行われました。法人理事会は和解案として、薮邦彦氏には名誉教授の称号を与える方向で理事会で再審議を行い、松井勝彦氏については、5月25日の理事会においてすでに名誉教授の称号を与えない旨の確認が行われているので、あらためて審議はしない、という案を提示しました。これに対して組合側は、松井氏も名誉教授称号の授与が認められるべきであることをあらためて主張しましたが、地労委の中島会長の説得にもかかわらず、法人側は薮氏にのみ授与という方針に変わりはない旨主張し続け、両者の意見は平行線となりました。結局、組合側も法人側も持ち帰って再検討をし、次回の和解交渉に臨むことになりました。

2回和解交渉は、法人側が検討のための理事会が 10月末まで開けないと主張をしたため時期が大幅に遅れ、 2ヶ月後の112日(火)13:30分より地労委で行われることになりました。

この名誉教授称号に関する件は組合員に対する不当な差別であり、労働組合法にも触れる重要事件ですが、さらに文部省の行政指導にも関係しています。すなわち、「教学との協働関係の確立」というのが行政指導の重要項目としてあげられています。今回の法人理事会の和解案は、文部省の行政指導をないがしろにし、教学に対してむしろ敵対的な態度を取らんとするものといえるでしょう。北陸大学の将来に百害あって一利もないものです。 法人理事会はすみやかに理事会を開き、薮氏、松井氏の両名に名誉教授の称号を授与して和解をし、そして教学・法人一体となって大学の発展につくしていけるような環境作りを一日も早くなすべきではないでしょうか。