北陸大学教職員組合ニュース第142号(1999. 9.24発行)

 

「休暇願の提出について」

法人・学長は労働基準法・就業規則を遵守せよ!

 

 平成11年9月6日に学長名で出された「出張願・休暇願・研修願の提出について」という文書には、労働基準法に抵触する部分があります。また、現行の就業規則を無視するものでもあります。文書の配付時、河島学長は中国出張中でしたので、その帰国を待って田村執行委員長、岡野書記長が河島学長に会い、抗議の意を表明しました。

 配付文書によれば、休暇が3日未満のものは3日前までに、3日以上であれば5日前までに休暇願を提出しないと、「原則として」許可しないとのことです。これは、多くの重要な問題を含んでおり、とうてい看過できるものではありません。

 一つは、労働基準法に違反しているということです。労働基準法では、休暇の申し出があった場合は、雇用者は原則としてそれを認めなければならないことになっています。休暇は労働者の権利として法律が保障しているものであり、雇用者側がみだりに拒否することができるというものではないのです。このような労働基準法という重要な法律に明記されていることを無視して今回の通達が出されたことは、言語道断と言わざるをえません。

 もう一つは、労働基準法および労働組合法の双方に関わるものですが、雇用者は労働者の休暇に関わる事項を変更する場合には、労働組合との協議をして了解を得なければならないということです。現行の就業規則では、通達文書に「根拠」として自らが引用しているように、就業規則第39条第3項で「年次有給休暇を請求する場合は、原則として前日までに所属長を経て理事長に年次有給休暇願を提出しなければならない」となっています。これを変更しようとすれば、法律上、労働組合との協議を経なければなりません。しかし、その協議の申し出さえありません。

 さらに今回の件は公然たる組合無視が行われたというだけではありません。通達の文書の趣旨は、就業規則にしたがって休暇願を提出しても、3日前でなければ拒否するというものであり、これは、法人理事会が自ら定めた就業規則を自ら無視するということです。通達文書にある「前日までに理事長に提出するための事務処理上の日数が別途必要」という「根拠」は雇用者側の一方的な言い分であり、理事長の印鑑なしには何事も進まない本学のあいかわらずの体質を露呈しているだけでなく、まったく法的根拠のないものです。法人・理事会のルールを無視した大学運営に対してはすでに文部省からの厳しい行政指導がありますが、それにもかかわらず、是正は未だなされていないことがここにもまた露呈したと言えます。

河島学長は組合側の主張に理解を示し、休暇願については、組合の主張に沿って事務処理が行われるよう措置を取り、また教員にも何らかの形で伝える旨、約束しました。さらに、教員の休暇願については、「休暇届」という名称に変更することも含めて、簡素化の方向で検討をすすめていることが明らかにされました。今後、それがどう実現されるのか、注視しようではありませんか。