北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会会報第6号(1997.8.30発行)

教職員の皆様へ

 

第1回 正常化を考えるシンポジウム」報告

 

 私たち有志の会は、去る7月24日(木)午後6時半から、金沢市観光会館において、「第1回 北陸大学の正常化を考えるシンポジウム」を開催しました。折柄の暑さにもかかわらず、会場には、市民、御父兄や学生を含む150名以上の聴衆を集め、「北陸大学の正常化」がすでに、単なる学内問題ではないことを如実に示す結果となりました。皆様のご協力に感謝いたします。

 まず、基調報告として、薬学部吉藤教授から、「正常化の現状」と題する報告があり、昨年公選制を求めて以来、教職員有志が辿ってきた「正常化」を目指す道程を振り返りました。そして、北陸大学を良くしようとする教職員の意志の結集が現状打開に必須であることを強調されました。次に、「全学教授会の現状報告」として、外国語学部林教授が演壇に立ちました。氏は、全学教授会メンバーとして多年にわたり努力されており、常に現場にある者だけが伝えることのできる真実を、あますこところなく開陳しました。特に、全学教授会議長となった佐々木吉男氏の「汗を流す」という発言が、決して「正常化」に結びつくものではなく、むしろ、大学の私物化を強めんとする法人理事会に利するのみであることが鮮明になったことは、極めて意義深いことです。

 ついで、金沢大学法学部長 鴨野幸雄氏から、「大学の自治に基づく大学運営」という題で特別講演を頂きました。日々刻々と変わる事態に対応するのに忙しい私たちが、ともすると忘れがちである「大学の自治」という、大学人にとって生命に等しい重大事を、氏は想起させてくださいました。現在、北陸大学に起っている異常な事態が、もはや憲法問題であるという事実を明快に示してくださった氏の御厚情に対し、心より御礼申し上げたいと思います。

 その後会場では、それぞれの担当者から各学部、事務部が抱える数多くの問題点が明らかにされました。信じられないような法人理事会の専横が報告される度に、会場が一瞬フリーズしてしまいました。フロアからも、山田隆一先生(元外国語学部長)が発言を求められ、自ら体験された異常な事態と、「正常化」を進める有志の会に寄せる期待を語ってくださいました。最後に、主催者を代表して法学部中山教授(有志の会代表)が、衆知を集め正常化を推進していくことを強く訴えられました。また、自ら“捨て石”となって行動すると決意を述べられ、有志の会の教職員を励まされました。シンポジウムは大きな拍手の中で盛会裏に終了しました。

 シンポジウムは、予定の時間を1時間近くも超過しましたが、開会時の熱気は最後まで冷めやらず、むしろ、ますます強くなったようでした。御父兄をはじめとする学内外の参加者から、アンケートなどを通じて、「日頃見えない部分が見えてよかった」、「今後もこうした公開の機会をもって欲しい」など、貴重な御意見も頂戴しており、今後の活動のよき指針となります。

 最後に、一点だけ、とても残念に思うことを報告しておかなければなりません。いうまでもなく、法人理事者側の対応です。私たちは、理事者各位にシンポジウムへの参加を文書で呼び掛けてまいりましたが、理事者は、「本学組織との関係が不明確な」団体の集会への参加を拒絶しました。私たちは意見を異にする人達を拒むような狭量な集団ではありません。衆知を集めることが目的のシンポジウムである以上、話し合い、意見をぶつけあう過程で、立場の違いを乗り越えられ、正常化が見いだせると信じているからです。ところが、“理事長直属”の企画課S課長をはじめ数名の理事者側職員が、観光会館向いの社教センターの窓から、終始、シンポジウム会場を監視しており、このことがTVでも報道されました。中山代表が中川専務理事に厳重な抗議をされたところ、中川専務は、「命令していない、職員の私的な行動である」と回答しました。当のS課長は、ある席で、有志から「監視行動」について詰問されても、反省の弁一つなかったということです。

 S課長に申し上げたい、あなたの心ない行為が、文部省も指導する「協働関係の確立」を阻害しているということに何故気がつかないのですか。一体、この日本国の中に、事務職員が多数して教員を敵視する大学が存在していいと考えているのですか。そもそもあなたは、教育の府である大学にあって、学生たちの教育に責任を取ることができるのですか。猛省を期待します。