北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会会報第15号(1997.12.13発行)

教職員の皆様へ 

協働関係の確立:学長選考

文部省の「具体案骨子」提示後の経過について

 

 平成9年10月8日に、佐々木学長が全教員へ文部省の「具体案骨子」を提示した後の、これまでの学長選考の具体的な規程(案)づくりの経過をお知らせいたします。

- 記 -

10月 2日:佐々木学長 「第10回全学教授会開催(10月8日)」通知を出す。

     「理事会と教学組織の協働関係の構築に関する文部省との協議の結果を報告し、具体案・骨子を提案する予定ですのでご出席ください。」

10月 8日:佐々木学長 再度、「第10回全学教授会開催(10月9日)」通知を出す。

     通知書には、文部省の具体的な指導に基づく「具体案骨子」を記載する。

 

 

具体案骨子

 @ 北陸大学学長任用規程第2条の学長候補者選考会議に教員の代表を加える。

 A 上記の会議で複数の候補者を選考する。

 B 上記の候補者を公示し、教員の投票を求める。

 C 最高得票者をもって当選者とし、理事会に推薦する。

 D 前項の推薦があった者を理事会の議を経て学長に任命する。

 

 

10月13日:「With」にて、理事長声明を発表。

10月15日〜17日: 

    中川専務理事が3学部と事務局で、「文部省の行政指導内容とその対応」を説明する。各学部教授会での中川理事・佐々木学長の説明のメモ(一部)

 

中川理事:平成9年9月3日に文部省から再度の指導がありましたが、これは文部省側からの提案ともいうべき内容で、“例えば”との断りつきながら、「本学に現在ある本学の学長選考会議に教員代表を加えた上で、大学審議会答申に示すような適任者を数人に絞った上での投票」といった極めて具体的な発言でありました。この発言は9月3日の時点ですが、その後に、学校法人調査課長からは更に具体的な話しが出まして、「大学審議会の一つのモデルとしてですが、具体案骨子を示しますので、先ず法人側が譲歩したらどうですか、学校法人が円滑な大学運営に責任があることは事実なのですから。場合によっては、非公式だが(文部省が)仲立ちに入ることもやぶさかでない、文部省はそこまで考えていますよ。」と言うことでした。

佐々木学長:以上の中川専務の説明のように、文部省からこの様な「具体案骨子」が出ました。 理事会からも、理事長声明(10月13日)が出ておりますように、この具体案を指針として、法人理事会と全学教授会の役割に応じ、具体的性を持つべく検討して欲しいと言われているのでございます。私としては、この「具体案骨子」の審議をもって、北陸大学の正常化の具体的な第一歩としたいと思っております。

 

10月29日:全学教授会 開催される。学長から、学長任用規程の「理事会案」が提出される。

11月 5 日:全学教授会 開催される。

11月 6 日:法学部教授会 開催される。

11月 6 日:薬学部教授会 開催される。

11月12日:外国語学部教授会 開催される。

11月12日:全学教授会 開催される。林外国語学部委員から、「学長選考規程(案)」が提出されるが、学長は“参考資料”にすると発言する。

11月12日:法学部教授会 開催される。

11月20日:全学教授会 開催される。学長から、学長任用規程の「学長試案」が提出される。

       文部省の具体的な指導について、佐々木学長は、「文部省の役人は土屋教授に、『公選で学長を選出することはよくない』と言った」と発言した。

11月21日:薬学部教授会 開催される。助手の選挙権などについて要望多数あり。 

11月25日:全学教授会 開催される。(推薦入試判定が主)

11月26日:外国語学部教授会 開催される。全学教授会メンバーから、先の「学長試案」に対し、「修正案」が提出される。審議して、了承される。

11月26日:法学部教授会 開催される。「修正案」を提出して審議し、おおむね了解をえる。

11月26日:全学教授会 開催される。学部選出メンバーから、先の「学長試案」に対して、「修正案」が提出される。

選挙の投票者数や最高得票者の得票率に下限を設けることに対し、佐々木学長は「公職選挙法では、下限はない」と発言。また、文部省と土屋教授とのやり取りについての前回の学長の発言をめぐって、「全学教授会の席上で土屋教授の意見を聞く必要がある」と提案されたが学長は拒否し、「自分が個人的に土屋教授に聞く」と発言した。

12月 2日:薬学部教授会 開催される。「修正案」を審議する。助手の選挙権について、選挙権を認めることを再確認した。「修正案」は大筋で承認される。

12月 3日:全学教授会 開催される。「修正案」を審議する。

      助手の選挙権について、山本薬学部長は「私見であるが、助手を加えるべきでない」と述べ、前日の薬学部教授会の意思を尊重せず。

      「修正案」は構成メンバーの多数が採決を主張したが、佐々木学長は採決せず、「意向を理事会に伝える」とした。

12月10日:全学教授会 開催される。学長は、常任理事会で承認されたという「改正案」を提出する。

 学部選出メンバーからは、先の「修正案」の「修正案」(ver.12/5)が提出される。

12月12日:薬学部教授会 開催される。山本学部長より「改正案」(常任理事会案)が提出され、学部長は、これについてご意見を伺いたいとした。前回の「修正案」との関連について疑義が出た。出席者(教授・助教授・講師)全員の意見聴取により、圧倒的多数で「修正案を支持する」ことが再確認された。

 

常任理事会と佐々木学長

学長任用規程の改正案(「常任理事会案」) を提出する

これまでの全学教授会の審議は尊重されたのか?

 平成9年12月10日開催の全学教授会において、佐々木学長は、常任理事会で承認されたという改正案(山本薬学部長の説明では、昭和63年9月16日施行の「北陸大学学長任用規程」の改正案)を提出し、これについて審議願いたいとした。しかし、佐々木学長は、文部省の指導による「具体案骨子」が出て、ストップしていた全学教授会が再開されたとき、「全学教授会が主体性を以って審議をし、成案を得たい」としたはずであるが、この改正案(「常任理事会案」)の提出とその内容をみると、このことに明らかに矛盾するもののように思える。

 

1.本学法人への文部省の行政指導は、学長選考にかかわる作業を“直ちに行うこと”であった。この常任理事会案は、内容からすれば、これまでの全学教授会の審議を考慮していない理事会独自と思えるものであり、これを3ヶ月も過ぎた今頃提出してきたことは、一体何なのか。「全学教授会」を唯一正規の機関とし、「全学教授会での学長選考規程(案)づくり」を教学との協働関係確立の第一歩と位置付け、“行政指導に従って作業しています”として文部省にも報告していたことが、欺瞞であったのか。最初から全学教授会での審議など当てにしていなかったのであろうか。教学との話し合いを軽視する法人理事会の姿勢は糾弾されるべきである。

2.この常任理事会案の内容は、これまでの全学教授会での審議内容の進展からすれば、大幅に後退しており、スタートに戻ってしまったかのような印象を与える。佐々木学長は「審議して成案を得る」ためのこれまでの作業を、この常任理事会案を自ら提出したことで、無駄にしようとしている。例えば、3学部の教授会でも大筋で承認され た先の「修正案」の取り扱いをどうするつもりなのだろうか。もし、「修正案」を棚上げにするようなことがあれば、全学教授会への信頼を失うであろう。

 自主性を重んじてこの場(全学教授会)で決めると宣言した佐々木学長なら、教学意思が反映された「成案」をつくって、理事会にぶっつけてみるくらいの英断があってもいいのではないか。次回の全学教授会の動きが注目される。全学で再び佐々木学長の排斥要求が起こり、学内が混乱することだけは避けていただきたいものである。

 

 

お知らせ

有志の会全体会議の開催と学長裁判の報告会について

 有志の会世話人は、表題の会を開催することを計画しています。時期は1月を予定しています。詳細は追ってお知らせいたします。

 

北陸大学はまだまだ問題が山積みです。

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