「北陸大学の学費は高くないか!?」

北陸大学平常化を目指す学生の会


第1号 1997.11.26発行




我々が北陸大学法学部・外国語学部における年間学費は共に120万円。この額を、あなたは妥当と見ますか、それとも高いと見ますか。私が入学したとき、両親は「高いな」と渋い顔をしました。そして「歴史が浅い大学だから、施設費や何やらでお金がかかるのは仕方ないか。」と言って、一つ大きな溜息をついてそれを諦めました。
確かに、この北陸大学は歴史が浅い。設備が整っていないのは当然でしょう。そのため、学費が高いのも当然でしょう。ですが、法学部だけに限った話をすると、法学部は一学年400名あまり。四学年全部で約1600人の学生がいると考えると、大学側の収入は学費だけでも年間19億円を超えます。そこに雑収入や父母会等からの寄付金などを足すと、年間収入は20億円近くになると思われます(何故推測か言いますと、ここ数年にわたり、大学側は経理の公開を拒否しているからです。なぜ?)。そして法学部が開設されて今年で6年。これだけの収入があるならば、学費を収める側である私達に対して何らかの形で還元されて然るべきでしょう。
では、学内の設備は充実してきているでしょうか。それに対しては、私達学生の返答は学部を超えて一致すると思います。否です。断じて否です。法学部には、大人数の学部でありながら、それら全員が入れるような大きな講堂はありません。食堂も1600名が入れるような大きさではない上に、学食としては値段が高いです。そして学生数がいくら増えようとそれらを増設しようなどといった動きは全くなく、大学側の対応は高校時代に使っていたコクヨデスクを設置するだけのものでした。外国語学部においては、学生が専門の分野を学びたいと願っても、それに対応できる教員の方がおられません。薬学部の実状はもっと悲惨です。最も重要な実習を行うにしても、それを充分に行える機材・人材・スペ−スともに不足しています。こんなエピソ−ドもあります。薬学部の予算に余裕のある年度がありました。教授会は理事会に電子顕微鏡の購入を申請しました。薬学部には必要不可欠な機材であったからです。ですが、その申請は受け入れられませんでした。理事会はその年、余った予算で絵画を購入しました。しかもその絵は六階に飾ってあるといいます。
これらのことは、北陸大学の実状を語るにおいて、氷山の一角でしかありません。
ですが、ここに挙げた事項や、皆さんが普段感じておられることからもわかるように、北陸大学では学費に見合った設備投資が全く行われていません。そして私達の収めた学費は、理事長一族の私腹を肥やすために消えてしまっているのです。その証拠として、北陸大学は文部省から私立大学に支給される補助金を打ち切られました。大学は利益団体ではありません。その目的は学術の発展と万人に開かれた教育の場を設けることです。
つまり、大学とは、そこで学ぶ学生のためにある場所なのです。
しかし今現在、この北陸大学の運営は学生を無視した理事会中心の異常なものになっています。教授の方々は有志の会を設立し、大学の正常化を目指して努力されています。教授の方々は学生と違い、家庭をもっていらっしゃいます。その生活を危険にさらしても、正常化されようとされています。
では、私達学生に出来ることはないでしょうか。大学がこのままだと、一番被害を被るのは私達学生です。思いどおりにならない教職員を理事会がクビにすることが出来ます(中山先生が今ピンチです)。しかし、そんな学生を放学等にする権限は理事会にはありません。私達学生の意識が、この大学を変えていく最大の力です。私達学生には、大学の正常化の前に、まず当たり前の大学運営、平常化を要求し、それから学生がもっと充実した学生生活を送れる場所へと変革されていくように理事会に提案し、運営に参加する権利があります。そして、それを行うには私達学生の意識の変化が必要です。これは決して他人事ではなく、私達一人一人の身に、今降りかかっている問題なのです。
―――私達はただ、一学生としてこの文章を配布します。