ご父母の皆様へ

 

うららかな日差しのもと、膨らみ始めた蕾が春の息吹を感じさせる頃となりました。皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は本学の教育、学生指導にご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、このほど一部のご父母の皆様のもとへ、「北陸大学学生有志の会」の名による文書が送付されているとのことですが、これは会としての責任の所在や実態が全く明らかにされていないものであります。注:文部省には、署名者全員の氏名と代表者の氏名・住所を明らかにしています。私たちが法人に代表者名を明かさない(明かせない)のは、法人からの妨害を危惧しているためですが、今後、会としての組織と支援態勢を整備し、内外に公表したいと考えています。)文書には、学問の府である本学での表現の自由に関し、故意に事実を歪曲した記述注:事実を歪曲していると言うことこそ事実の歪曲です。)や、一方的な理事会批判に基づき署名を求める内容が見られますが、学校法人として看過できないため、ここに事実に基づきご説明申し上げる次第です。皆様にはご心配をおかけして誠に申し訳なく存じますが、宜しくご理解を賜りますようお願い致します。

平成6年秋に、外国語学部の一学生が大学から配布の許可を得ず、しかもその内容がいわれなき学校法人・理事会批判に満ちた責任主体名の記載がないビラを学内で配布したことがありました。このため、学生課職員などが学事本部の応接室(注:当時は管理局の応接室だったそうです。)で、この学生にビラ配布の動機を聞き、以後かかる行為のないよう指導しました。その後、この学生は理事者に対し、自らの行為について謝罪したため、(注:学生が自主的に謝罪したのではなく、理事長から「謝罪しないと放学にするぞ。」と脅されて、やむなく謝罪したとのことです。)この学生に対しては何ら処分は行いませんでした。(注:恩着せがましい言い方ですが、法律上、法人には学生を処分する権限はありません。あるのは教授会ですが、教授会にはそもそもそういう事実があったことさえ知らされなかったそうなので、仮に処分しようとしても処分のしようがなかったとのことです。)これは明らかな学則違反の行為注:後述しますが、学則違反ではありません。)に対する学生担当職員らによる指導であり、それが長時間に及んだとしても、一部で故意に言われる「監禁」では決してありません。この事件については、@学則違反でもない行為に対して、処罰しようとした。Aそのことを教員ではなく、事務職の課長、法人の理事、当時雇われていた事務職員(元警察官)が行った。B脅迫的言辞でもって無理矢理謝罪させた。(強要罪?)C長時間拘束し、数回にわたるトイレのときでさえ、事務職員が傍についた。D部屋の外には事務職員の見張りがいた。E授業に出させなかった、等々の問題があり、人権侵犯事件として十分刑事事件になりうるものでしたが、本人と親が法人からの就職に対する妨害などを危惧し、告訴することを差し控えただけのことです。
本学では学生の文書の掲示、配布等については、学則により本学への届け出を要することとしていますが、(注:学則にはそういうことを禁じた規定は一切存在しません。学則には一切書いてないことを学則に明記してあるかのように言うことなど、とても学長の文書だとは思えません。学則を知らない学長なんてどこの世界にいるでしょうか。理事長側近が考えた手前勝手な文章を、学長の名前にして出している程度のこととしか考えられません。参考までに言いますと、学生便覧にはそれに触れた箇所はありますが、学則ではなく、その他の規則でもありません。単なる事務上の要望で、それに反したところで処罰されるものでもありません。万一、そんな内容の学則があったとしたら、それこそ憲法違反が問われることでしょう。)これは文書については、責任主体を明らかにさせるとともに、修学環境を悪化させないため、定められた掲示場に掲示させるとともに掲示文書の除去にも責任を持たせることを目的としています。これを表現の自由の名において非難することは明らかに誤っています。(注:学生が掲示する文書は学生課の検印が必要とされています。そこで内容がチェックされます。しかし、大学は実社会の会社とかの組織ではありません。自由に色んな違った意見を闘わせることが必要で、それが学問の発展に不可欠なのです。それを封じることは大学の自殺行為です。その自殺行為を北陸大学の法人は、実社会と同様な感覚でやらせてきているのです。
本学の学則は、キャンパス内における学生生活の秩序を形成するルールであります。そのルールに反する行為注:学内でビラを配布する行為も、理事長批判の署名をすることも学則には一切規定されておらず、ルール違反とは言えません。「学生諸君へ」の中で、学長は、学生が理事会に直接要求する行為は、学内のルールに則った行為でないと明言しています。それならば「学生が理事長退陣を要求するためのルール」は北陸大学の規則のどこに明記してあるのでしょうか?どこにもありません。ありもしないルールに基づかないといって非難するのは錯乱としか言えません。そもそも、法哲学の書物によれば、ルールとは、「それに関与する人皆がそれを守ろうという意識を持つもの」、つまり「規律する方もされる方もそれを守ろうというもの」がルールです。経営者が自分の都合のために勝手に作った規則など、ルールとは言わないのです。こんな法の基本的なことさえ、法学者である筈の学長は分らないのでしょうか?)を看過することは、秩序を重んじる社会へ学生が巣立った時のことを考えれば、決して好ましいことではありません。しかも、配布した文書に責任主体名が記載されておらず、しかもその内容が、確たる根拠もなく自らの一方的な思いによる誹謗、中傷の類であれば、(注:私達と同様なことを以前、地元の某雑誌が記事に掲載しましたが、理事長はそれには反論しなかった筈です。事実に基づかない誹謗、中傷の類であれば名誉毀損罪に該当するから当然告訴すべきだったのに、できなかったのは何故でしょうか?それは事実だったからでしょう?)それは社会においては法的な面のみならず、道義上も許されるはずがありません。むしろ、学校法人はその前途有望な学生の行為が、法的処罰の責めを負う実社会においてではなくも指導の範囲で軌道修正が可能な教育の森における若気の至りであったことに胸をなでおろしております。(注:これは丸で脅しではないですか?何で、学長が学生を脅すのですか?学生を正しい方向に導く使命を負う学校法人がルールに反する行為に対して必要な指導をするのは当然であり、人間形成のための教育活動上の義務であると考えております。(注:どうしてルールに反してもいないことをルールに反しているとして、学生を指導する権限のない法人が、学生を指導するのですか。要するに、相手が教員であろうと、学生であろうと、理事長批判は許さない、というだけのことでしょう?
皆様に対する署名の要望は、最近一部の学生が学内において行った署名活動の延長線上にあるように思われます。

学内における署名活動の文書では、施設設備、文部省の指導に沿った経理公開などを求めていますが、(注:最も肝心なことを抜いているでしょう。3億円の退職金を返還してください。授業料を減額してください。)学校法人はこれまでに指導を踏まえて教員の意向を反映できる学長選出の方法を提案し、(注:どうしてこんな見え透いた嘘をつくのでしょう?文部省の指導から1年も経過しているのに、全学教授会の議決を無視して、一向に先生方の意見を取りいれようとしていないではないですか?)職場の活性化に向けた事務組織の整備を進め、教員との協働関係の構築を前提に平成十年度決算から経理を公開する方針を打ち出すなど、(注:これも嘘でしょう?丸で自主的に公開に踏み切ったような言い方ですが、事実は文部省の強い指導でやむを得ずやらされただけのことでしょう?それに9年度以前の経理は未だに公開を拒否しているではありませんか。)大学運営の更なる適正化を図る努力を続けてきました。今回の学生の署名活動は、こうした課題克服への努力を無視して意図的に学内で流布された批判を、若さゆえに鵜呑みにしてしまっての行動と思われますが、皆様のもとへ署名を求める文書が送付された背景にはこうした事情があることをご理解いただきたく存じます。
学生が、事前に要求に関する話し合いの申し入れをすることなく、集めた署名をいきなり文部省に提出する行為に対しては、驚きを禁じ得ません。また、署名を求める文書には私見のみに基づく理事者批判が含まれています。(注:どの部分が私見なのか不明です。)学校法人は学生に対して、同封致しました別紙「学生諸君へ」という文書をもって、本学のルールのみならず民主主義の基本的原理を無視して一方的に相手の名誉を損なうような行為を群集心理で軽率にしてはならないことを指導するとともに、本分の勉学に励むよう求めて参る所存であります。(注:何をもって私達が民主主義の基本原理を無視していると言うのか、理解に苦しみます。民主主義を無視しているのは、理事長でなければ決定できず、理事長でなければ高い給料を取れず、理事長でなければ何もすることを許されない、今の北陸大学の法人の姿でしょう。
教育施設、学生サービスについては、学校法人は従来も改善に取り組んできましたが、今後も将来的な整備構想と安定した財政計画に沿い、教員と学生の要望を汲み取りながら、教育環境の向上に鋭意努めて参ります。(注:真の学生へのサービスとは、私達の問いに誠実に答え、経理を公開すること、不明朗な支出をなくすこと、3億円を返還すること、授業料を減額すること、先生方との協働関係を確立することです。
もとより本学の使命は、学生を充実した学生生活へと導き、その資質を生かせる進路へと送り出すことであります。皆様のご期待に応えるためにも、全ての学生がはつらつとして健全な学生生活を送れるよう、渾身の努力を続ける所存です。(注:そのためには、理事長の退陣と理事会の刷新が不可欠と私達は確信しています。)どうか、今後ともご理解をいただき、相変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、切にお願い致します。
 
平成十年三月二十日

北陸大学学長 佐々木吉男