(平成9年2月7日 朝日新聞 社会面)

 

北陸大学の学長選任問題

 

教授側、自主選挙へ

 

学長の選任方法をめぐって理事会と教授グループが対立している私立北陸大学(金沢市)で、教授側が独自に学長の選出規定を作り、今月下旬に自主選挙をすることが6日、わかった。4月には理事会が選んだ亜細亜大の前学長で国際政治学者の衛藤瀋吉氏(73)が学長に就任する予定だが、教授側は同日までに、衛藤氏の学長任命禁止を求める仮処分申請を金沢地裁に出した。理事会と教授側が選ぶ2人の学長の争いとなるのは避けられず、学内は混迷を深めそうだ。

教授側が作った選出規定では、学長は同大学の専任教授であることなどが原則で、選挙権は学長、専任の教授、助教授、講師、助手、実験助手にある。教授会内に選挙管理委員会を設け、投票総数の過半数を得た人を学長に選ぶ。

規定は「学長・学部長公選制を求める教員有志」が提案。全教員約180人の約8割が投票し、うち7割以上がこの規定を承認した。早ければ13日に公示し21日に投票する見通し。

教授らの動きに対し、大学側は「自主選挙は大学の自治を踏みにじる背反行為だ。教育現場に混乱を招かないよう軽率な行動は慎んでほしい」などとする久野栄進・学長名の文書を配り、投票に参加しないよう呼びかけている。

理事会は昨年8月、新学長に衛藤氏を選んだ。教授側は、学長選任は学校教育法59条に定める重要事項にあたり、教授会の審議を経ない選任は違法であると主張している。