(平成11年3月6日 読売新聞朝刊 金沢面)

北陸大学長選めぐる訴訟 教授側の訴え退ける  金沢地裁「原告適格を欠く」


北陸大学(金沢市太陽が丘、北元喜朗理事長)の理事会が教授会の審議を経ずに学長を選出したのは学校教育法に違反するなどとして、教授有志らが同大を相手取り、理事会決議の無効確認などを求めた民事訴訟の判決が5日、金沢地裁で言い渡された。渡辺修明裁判長は、学長らの地位不存在確認を求めた訴えについては、「原告は原告適格を欠いている」として門前払いである却下とするなど、原告の訴えを全面的に退けた。

判決では、学長、学部長らの地位不存在確認を求めた訴えについてまず、訴訟を起こす資格である原告適格を検討。渡辺裁判長は「原告には学長らの地位について法律上の利害関係を有していることが必要」という最高裁判例を前提に「北陸大学の組織規定上、教授が学長らの任免にかかわることはなく、学校教育法59条の教授会の審議する「重要な事項」にも、人事が当然含まれるとは解されない」などとして原告適格を認めず、地位不存在確認の訴えを却下した。
また、薬学部教授会の審議権を侵害したとして慰謝料約1千万円を求めた訴えについては、「理由がない」として棄却となった。
この問題の発端は、理事会が96年8月、国際政治学者で元亜細亜大学長衛藤瀋吉氏を新学長に選任したこと。教授有志側は教授会の審議を経ない選任に反発、「大学には、重要事項を審議するため教授会を置かなければならない」とする学校教育法59条に違反するとして提訴していた。大学側は、昨年12月、学長選出に教授らの投票による選挙制を導入、今年1月1日付で、河島進薬学部教授が新学長に就任している。
教授側は「判決には失望した。残念というほかない。しかし、提訴により学長選出に選挙制が導入され、問題は解決したのでその点は満足している」と話している。
同大の中川幸一専務理事は「学校側の主張が全面的に認められた。学内問題は学内で解決していく努力がなされることを願う」とコメントした。

学長選で文部省に調査求める上申書  教員有志


昨年12月に行われた北陸大の学長選を巡り、同大教員有志らはこのほど、「理事長の言動で候補者が辞退させられた疑いがある」として、文部省に事実調査を求める上申書を提出した。上申書によると、昨年12月14日に行われた理事会による学長選出にあたり、教授らによる事前投票で過半数を獲得していた法学部教授が、最終決定の場である理事会投票の前に立候補を辞退したという。
理事会では河島現学長だけが候補となり過半数を獲得したため、学長就任が決まった。しかし教授らが経緯を調べたところ、法学部教授の辞退は、北元理事長の言動がきっかけになった可能性があるという。教授有志らは「法学部教授は理事会に出ていれば間違いなく学長に選出されたはず」と話している。


戻る