(平成12年2月16日 朝日新聞朝刊)

学生寮で食中毒 15人症状、9人から菌  北陸大


金沢市保健所は15日、同市太陽が丘2丁目、北陸大女子学生寮「ドームひまわりの家」で、8日の夕食を食べた学生177人のうち15人が腹痛、下痢などの食中毒症状を訴え、うち9人から原因物質とみられるウエルシュ菌を検出した、と発表した。同保健所は、食事を提供している太陽アソシエイツ(木村啓一代表取締役)の調理部門を、15日から17日まで営業停止処分にした。患者は18歳から22歳で症状は比較的軽く、入院することもなく、全員が快方に向かっているという。
同保健所によると、原因食品とみられるのは、8日夕に出された豚ヒレのトマトソース、ナスの豆板醤炒め(とうばんじゃんいため)、ごじる。これまでに食材からは菌は検出されていないという。
今年に入ってからの食中毒発生は県内で初めて。「ひまわりの家」では1996年7月27日にも、太陽アソシエイツがつくった食事で、学生17人が腸炎ビブリオ菌による食中毒にかかっている。
今回検出されたウエルシュ菌は、嫌気性(酸素を好まない)の芽胞菌で、加熱しても芽胞が生き残り、食品温度が下がると発芽して急速に増殖。腸管内で芽胞になる時に毒素が発生、発病するという。給食など一度に大量を加熱調理する場合、食品の中心部は無酸素状態になり、ウエルシュ菌の生存環境でもある嫌気度が高くなるという。

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