(平成12年12月22日 朝日新聞朝刊)



北陸大 「退職日決定は無効」
学生も反発,大学は反論


  金沢市太陽が丘1丁目、北陸大(河島進学長)の法学部教授が二十一日、「退職の期日を不当に決められた」として、退職日決定の無効を求めて地位保全の仮処分を近く金沢地裁に申請する考えを明らかにした。後期の講義予定を残したまま二十二日付で退職させるとした理事長側の決定を巡っては、学生から「引き続き講義を受けたい」「退職までの経緯を説明してほしい」などと反発の声が広がり,二十一日には大学による学生に対する説明会も開かれた。
 申請するのは、元法学部長の初谷良彦教授(59)。初谷教授によると、教授は四月に法学部長に再任されたが、家庭の事情から愛知県の自宅と金沢市の大学を往復することが多くなり、週二−三日、年休を使う状況が続いていたという。
そこで学部長の職務を続けることが困難だとして、北元喜朗理事長や河島学長へ辞任を申し出たところ、「気持ちを示す上で、形だけでも教授職の退職願も出すべきだ」と迫られ、八月三十一日付で学部長の辞任願と日付の入っていない退職願を提出した。十二月に入って理事長から「二十二日付での退職を決定した」との通知がされたという。
 初谷教授は「教育に中断があってはならず、最後まで学生たちを見届けたい」と,来年三月までの留任の意志を理事長側に伝えたという。退職願を渡した直後の九月には、北元理事長に呼ばれた席上、「日本刀をのど元に突きつけられた後、早期の退職を迫られる場面もあった」と説明している。
 これに対して、河島学長は同日昼に記者会見に応じ、日本刀の問題について同席していた立場から、「別の話題で理事長が刀を見せただけ」と反論。「『刀を突きっけられた』と事実にもとることを警察に訴え,大学を誹謗中傷したのは就業規則にも反する」と非難し、退職手続きの正当性を主張した。
 一方、学生側によると、初谷教授の退職日決定の撤回を求め、法学部の在校生や卒業生など千四百人余りの署名が集まった。また、同日昼の説明会では、河島学長が学生約四百人に対し、今後の単位認定などの説明をした。「退職までの経緯がわからない」と迫る学生と大学職員との間でもみ合う場面もあったという。



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