(平成13年1月17日 北國新聞朝刊)



年度内の地位を保全 北陸大前法学部長退職
学生の不利益考慮 金沢地裁決定



 年度途中の退職決定は一方的で不当として、北陸大前法学部長の初谷良彦氏が同大を相手に地位保全を求め申請した仮処分で、金沢地裁は16日、「年度途中の退職は、教育を受ける学生にとって不利益が大きい」などとして、同氏がことし3月31日まで同大の教授職にあることを認める決定をした。
 渡辺修明裁判官は、初谷氏自身に退職の意思があったことを認めながらも、研究などにあたる教授職の特異性や学生が受ける不利益などを考慮し、「年度末の3月31日に退職するのが通常」とした。
 一方、初谷氏が「河島学長から『退職願は形だけ』と言われ、信用して作成した」と主張した点については、「大学側が錯誤や誤信をさせた証拠はない」として退け、退職処分そのものの停止と今年度以降も教授職を続けることなどは認めなかった。
 今回の決定について北陸大の中川幸一専務理事は、「初谷氏との雇用契約は既に終了しており、大学側は新体制の授業計画を継続する。今後本訴に持ちこむことも検討したい」としている。
 仮処分決定後に会見した初谷氏は、今回の決定を評価し、「今後も大学の反社会的行為を追及し、学内にまん延している暴力的体質の根を絶ちたい」と話した。


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