(平成13年1月18日 朝日新聞朝刊)


北陸大退職問題 授業再開巡り混乱
初谷教授自主講義 理事長側、抗告の構え


(写真入り、キャプション:授業の再開や説明会を求める学生側と協議する河島進学長(右手前)。
初谷良彦教授(左)との間で口論になる場面もあった=金沢市太陽が丘1丁目の北陸大で)


 金沢市の北陸大で、年度途中で退職」との理事長決定をされた元法学部長の初谷良彦教授(59)に対し、金沢地裁が年度内の地位保全を認める仮処分決定をしたのを受けて、北陸大のキャンパスでは17日、授業を再開しようとする初谷教授や支援する学生らと、それを認めない大学事務局側との押し問答が続くなど混乱が起きた。理事長側は仮処分の決定を不服として抗告する構えも見せている。
この日午後、初谷教授が担当してきた法学部と外国語学部の憲法関係の講義2つが予定され、初谷教授の研究室前には学生5、60人ほどが集まった。しかし、事務局側が研究室の使用を禁止したことや、初谷教授と河島進学長が同席する学生への説明会開催のめどが立たなかったことなどから、「教育を受ける権利を侵害するのか」と迫る学生と大学職員が言い争いになった。中川幸一専務理事や河島学長に対して、学生ら
が不満や怒りをぶつける場面もあった。
 この日の法学部生対象の講義は、代わりの講師によって開かれていたという・しかし、講師の都合で休講した外国語学部生の講義については、初谷教授が自主的に開き、約100人の学生が聴講した。初谷教授は「授業もできず、研究室も使えず、給与だけなんていう教授なんてあり得ない。これから卒論の指導や進級判定などもあり、学生に不利益を及ぼしてはいけない」と反発。中川専務理事は「具体的な対応は検討中だが、今回の地裁決定は大いに不満がある。初谷氏の方が学生の心をかき乱している」と反論している。



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