(平成13年1月31日 北陸中日新聞朝刊)




北陸大゛紛争″泥沼の様相
「助教授から暴行受けけが」学生が被害届け提出



 北陸大学(北元喜朗理事長、金沢市太陽が丘)の初谷良彦・前法学部長の退職問題で、初谷氏の授業を受けることを希望した外国語学部2年生の男子学生(21)が、法学部助教授(35)から暴行を受けてけがをしたとして30日、金沢中署に傷害罪で被害届を出した。この問題をめぐっては既に初谷氏と大学側の双方が、民事訴訟や仮処分命令の申し立てをするなど真っ向から対立しており、泥沼の様相を呈してきた。


初谷氏の構内立ち入り禁止を大学側も申請

 学生によると、10日午後3時15分ごろ、初谷氏がもともと担当していた外国語学部の日本国憲法の講義を受けるため、教室に行ったところ、大学側が新たにこの講義の担当に決めた助教授や数人の教職員がいた。このため学生が「なぜ初谷先生が来ないのですか」などと抗議したところ、法学部助教授が背後から羽交い締めにされて、教室の外に出され、この際胸や右太ももに1日間のけがをしたという。
 学生は「初谷氏の授業を受けたい私たちの思いを無視する大学に対して、強い憤りを感じる」としており、近くこの助教授と大学側に慰謝料を求める民事訴訟を起こす方針。大学側は「事実関係を調べた結果、授業妨害をした学生を外に出したのは事実だが、暴行はなかった」としている。
 退職問題は初谷氏が昨年9月、理事長室で、北元理事長から日本刀を突き付けられ辞職を迫られたとして金沢中署に被害届を出したのが発端。大学側は「初谷氏が虚偽の届け出をした」ことを一因に、当初今年3月末まで在籍させる方針だった初谷氏の退職日を昨年12月22日に決めた。
 初谷氏はこれを不当として、教授職の地位保全を申請。金沢地裁が3月末まで教授職の地位保全を認める決定をしたため、大学が正規と認めない講義を続けている。また日本刀を突き付けられ、精神的苦痛を受けたなどとして慰謝料を求める民事訴訟も起こした。
 一方、大学側は「金沢地裁の地位保全決定は、初谷氏の講義実施を認めていない」として初谷氏の講義を助教授らに担当させる措置を取っており、30日までに、同氏が大学側の決定を無視した講義を実施して学内を混乱させているとして、金沢地裁に同氏の大学構内への立ち入り禁止を求める仮処分を申請した。また日本刀問題についても反訴の方針を固めている。


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