(平成9年3月1日 北陸中日新聞)

 

双方和解のテーブルに

金沢地裁口頭弁論

衛藤氏選任撤回受け

 

教授会を通さない学長選任は違法だとして北陸大学(金沢市)の教授25人が学校法人北陸大学を相手に、4月からの次期学長を亜細亜大学前学長の衛藤瀋吉氏(73)に決めた理事会決議の無効確認などを求めた訴訟の第一回口頭弁論は28日、金沢地裁で開かれたが、大学側が27日に衛藤氏選任決議を撤回したことを受け、双方が市村陽典裁判長の勧告に従い和解交渉に入った。

双方代理人によると、和解交渉では教授側、大学側が次期学長任命についてそれぞれ申し立てていた仮処分についての審尋期日は取り消され、3月13日と28日に指定された和解期日に併せて話し合われることになった。

閉廷後、記者会見した教授側代理人の有賀信勇弁護士は「3月31日に現学長の任期が終わるので、積極的に和解勧告に応じた。それまでに解決できない場合の暫定的な学長をどうするかを含め、裁判所を通じて全教員の意思が反映される学長選任のルール作りをしたい」と話した。

北陸大の中川幸一専務理事は「ルールに基づき教授会を中心として教員の意思が反映できる大学運営を目指して学内正常化のため話し合いを進めていきたい」とのコメントを発表した。

 

『次期はだれ』焦点に

有志世話人 大学側との交渉委設置

 

北陸大の学長選任をめぐる問題は、大学側が4月1日に予定していた衛藤氏の任命を見送ったことで、だれが次期学長に選ばれるかが焦点になった。教授側は自主選挙で選んだ法学部の中山研一教授(70)を新学長として推す方針を固めているが、大学側は「自主選挙の結果は無関係」とし、食い違いが生じている。

教授有志らは2月21日、全教員を対象に自主選挙を実施。全教員182人のうち132人が参加、うち118票を集めた中山教授を次期学長候補者≠ノ選出した。土屋隆教授は「7割以上の人が投票に参加した。その名家の割が1人の人に投票したという事実は大事なことだと思っている」と話す。

28日には閉廷後、有志世話人が集まり、裁判での和解交渉と並行して次期学長選びについて大学側と話し合うための「交渉委員」を設置した。

これに対し大学側は「自主選挙は実効性がなく、今は規定を変える時間もない」として、全学教授会の意見を参考にしながら、理事会が学長候補者を選ぶとした現行の任用規定で選出したいとしている。