(平成8年12月18日 北國新聞)

 

学長選任は無効と訴え

北陸大の教授25人 「教授会の審議必要」

 

北陸大の教授25人が17日、教授会の審議を経ずに、次期学長に衛藤瀋吉氏(73)を選任した理事会の手続きは学校教育法に違反しているとして、同大を相手に理事会決議の無効確認などを求める訴えを金沢地裁に起こした。

訴状によると、大学側は今年8月、教授会の審議を経ずに、常任理事で構成される学著選考会議により選出された衛藤氏を、理事会で来年4月からの次期学長に選任した。原告の教授らは、大学側の手続きは「大学には重要事項を審議するため、教授会を置かなければならない」とする学校教育法に違反しており、選任は無効、と主張している。

このほか、薬学部の教員選考で、教授会が助教授としての採用を認めた人物を、大学側は教授で採用したとして、し亜用の無効確認と900万円の損害賠償を求めている。

17日、金沢市の石川県教育会館で原告の土屋隆(薬学部)、橋本忠(同)、島崎利夫(法学部)、林敬(外国語学部)の4教授が記者会見し、「教授58人程度のうち25人が厳酷に加わった。全国の大学に共通した問題であり、教授会が学校運営のイニシアチブを取り戻す必要があると考え、提訴した」と語った。

これに対し、大学側は「訴えられた事項はそれぞれが学内の諸規定に基づいて行われているので、提訴の意味が分からない。訴状を見ていないのでこれ以上具体的なコメントは申し上げられない」(中川幸一専務理事)としている。

衛藤氏は東大名誉教授で、選考は国際関係史。昭和62年から平成7年1月まで、亜細亜大と日本経済短期大の学長を務めた。亜細亜大学長時代に「一芸一能入試」を導入したことでも知られ、現在は同大客員教授。