(平成8年12月20日 北國新聞)

 

現学長の退陣を要求

北陸大の教員有志 次期学長選任で混乱

 

北陸大の岡野浩史教授ら教員有志は19日、久野栄進学長が全学教授会の議論を無視して次期学長候補を常任理事会に推薦するなど教学の長の責任を全うせず混乱を招いたとして、久野学長の即時退陣を求める要求書を同学長と北元喜朗理事長に提出した。これについて、大学側は学内の諸規程に基づいた次期学長の選任であり「問題はない」と反論している。

要求書によると、大学の学長は教育、研究の最高責任者として教学の意思を代表する役割があるにもかかわらず、▽学長、学部長の公選制を求める多くの教員の声を無視し、次期学長候補者を常任理事会に推薦した▽薬学部教授会の審議・評決を無視した教授会人事が行われたのに同教授会への説明がなかった▽一昨年11月、金日成主席親子と前、現理事長の顔写真を並べたポスターを張り出そうとした学生が事務局員により不当に監禁されたのに、この件での教員側からの質問に回答しなかった−など7項目を挙げている。

19日、岡野、吉藤茂行両教授と田村光彰助教授が金沢市の兼六荘で記者会見し、「学長、学部長の公選を求める教員側の声を踏みにじる法人側の対応が原点であり、教学側の主体性を発揮しない学長の姿勢に問題がある。要求書には全教員184人のうち106人が署名した」などと語った。

 

大学側反論

学内規定に基づき何ら問題はない

 

大学側によると、学長任用規定では常任理事で構成する学長選考会議により選出された人物を理事会に諮り、理事長が任命することになっている。大学側は次期学長の選任もこの規定に基づいて行われ何ら問題はないとしており、中川幸一専務理事は「北陸大のために頑張っている現学長が退陣要求されるいわれもない。人事については企業でも昇進、異動のたびにその理由が明らかにされないように、教授会に説明しなくても特に問題はない。学生を監禁したとの話は事実のねつ造だ」と話している。

北陸大では今月17日、同大教授25人が次期学長に衛藤瀋吉元亜細亜大学長を選任した理事会決定の無効確認を求める訴えを金沢地裁に起こしている。