(平成9年4月4日 北陸中日新聞)

 

「佐々木学長選任も違法」

北陸大訴訟 教授側が請求変更

 

北陸大学(金沢市)が教授会の審議を経ずに学長を選任したのは違法だとして、教授25人が学校法人北陸大学を相手に昨年8月の理事会決議の無効確認などを求めた訴訟で、教授側は3日、請求の趣旨を1日就任した佐々木吉男学長と3学部長の地位不存在確認に変更するよう求める申立書を金沢地裁に提出した。

大学側が同理事会で決めた衛藤瀋吉・前亜細亜大学長の選任を撤回、これを受けて行われた和解交渉も不調に終わったため。

申立書は、大学側が3月29日の理事会で佐々木学長と3学部長を選任、今月1日に4人をそれぞれの地位に任命したのは「大学には、重要事項を審議するため教授会を置かなければならない」と規定した学校教育法59条に違反する、としている。

さらに、和解交渉で大学側がいったんは「学長の選任については教学の意思が反映されるように規定を変更する」と提案しながら、これに反する選任をしたことや、学部長候補についての教授側の意思表示を無視したことは実質的にも不当で、違法の程度は重大だとしている。

 

運営や虚偽報告で文部省が行政指導

 

一方、同大理事会の運営体制に問題があるなどとして、文部省が行政指導を行っていたことが3日までに分かった。

行政指導があったのは先月18日。@理事会の運営体制の見直しと法人管理運営の適正化A理事会と教授側の協力関係の確立B内部監査機能の強化C諸規定の整備D事務処理体制の改善、充実―の5項目について、北元喜朗理事長らに口頭で指導が行われた。

また、同大は昨年5月、当初の計画になかった体育館2階の増築について変更を報告していなかったとして文部省から指導を受けた。しかしその変更を提出する際、実際は体育館を管理する別会社で資金を借り入れていたにもかかわらず、学校法人が負担したと再び虚偽の報告をしていたことも分かった。同省はこの件についても「資金の出方が不明瞭」として指導を行っている。

同省では、昨年11月に教授有志らから提出された上申書に基づき、大学側から事情を聴くなどして調査を進めていた。今後は、指導に対する改善策について、同大に逐次、報告を求めていく方針。同大の中川幸一専務理事は「私学の独自性の範囲でやっていたと認識しているが、教授らとも話し合いながら調整していきたい」と話している。