(平成9年3月29日 読売新聞)

 

次期学長巡り混乱の北陸大

和解交渉が決裂

 

金沢市の北陸大学(北元喜朗理事長)理事会が、国際政治学者で前亜細亜大学長の衛藤瀋吉氏を次期学長に選任した決議は学校教育法に違反するなどとして、同大学の教授有志25人が大学を相手取り理事会決議の無効確認を求めていた民事訴訟の和解交渉が28日、金沢地裁で行われた。新学期を目前に控え、和解に向けた最後のチャンスだったが、結局、双方の溝は埋まらず和解交渉は決裂。5月30日に口頭弁論が再開されることになった。

双方はこれまでに裁判所の和解交渉のほか、学内でも自主的な話し合いを行い、それぞれが裁判所に和解案を提出していた。

この日の交渉では大学側が示した和解案の「新学長は現行の学長任用規定に基づき選任する」との文言に対し、新しいルールでの新学長選出を求めていた教授側が「受け入れられない」と反発。結局、話し合いは物別れに終わった。

中川幸一専務理事は「残念としかいいようがない。学内の正常化には長い時間が必要で、今回のことでなにもかもがダメになったわけではない」と話している。

混乱が続く同大学では同日現在、4月からの学長だけでなく、外国語、薬学の両学部長も決められないまま。新学長は今月中に現行の学長任用規定により理事会で選任する予定。これに対し教授側は「これでは何のために衛藤氏の選任を白紙撤回したのかわからない」と話している。