(平成9年3月29日 北國新聞)

 

和解決裂、弁論再開へ

北陸大理事会決議無効訴訟

新学長選任で対立

 

北陸大の教授25人が、教授会の審議を経ず次期学長に衛藤瀋吉氏(73)を選任した理事会手続きは学校教育法に違反しているとして、同大を相手に理事会決議の無効確認などを求めた訴訟の和解交渉が28日、金沢地裁であった。双方の和解案に基づき、話し合いが行われたが、新学長の選任方法で対立、調整がつかず交渉は決裂した。次回から弁論が再開される。

双方の代理人らによると、和解交渉では、久野栄進現学長の任期が今月末で切れることから来月からの新学長の選任について、教授有志グループが側が「教員の意思を反映させ、暫定的に学長を選出すべき」と訴えたのに対し、大学側は「現行の任用規定で選任すべきだ」として学長選考会議で選出し理事会で決議する従来の方式を唱え、平行線をたどった。

この後、教授有志グループ側代理人の大室俊三弁護士は金沢市尾山町の兼六荘で記者会見し、理事会側の和解交渉について、「事前高尚で大学側から出された『暫定の学長を選出する』との案より後退しており、一貫性のない主張には不信感を抱かざるを得ない」と語った。

一方、北陸大の中川幸一専務理事は「和解に至らなかったのは仕方がない。今月中にも、新たな学長を選出する方針で、人選は現学長も含め、数人まで候補を絞り込み、最終の詰めを行っている」と語った。また、「暫定の学長を選出する」との事前案については「理事会の中で検討された素案の1つに過ぎない。理事会では最終的には、現行の規定で学長を選出するのが筋との意見が大半を占めた」とした。