(平成9年3月29日 北陸中日新聞)

 

和解交渉が決裂

学長任用規定歩み寄れず

5月30日口頭弁論

 

北陸大学(金沢市)が教授会の審議を経ずに次期学長を選出した昨年8月の理事会決議は学校教育法違反だとして、教授25人が学校法人北陸大学を相手に同決議の無効確認などを求めた訴訟の和解交渉が28日、金沢地裁(市村陽典裁判長)で開かれた。今月末で任期切れとなる現学長の後任選びをめぐり、教授側、大学側双方の主張が折り合わず交渉は決裂した。次回は5月30日に口頭弁論を行う。

記者会見した教授側代理人の大室俊三弁護士らによると、教授側が4月1日以降の学長を任期2ヵ月の暫定的な学長事務取扱として選び、その任期中に、学長は理事会が選任すると定めた現行の学長任用規定を改正するよう求めたのに対し、大学側は現行規定に基づき任期4年の学長を選任した後で教員の意思を反映できる仕組みを検討したいとして双方は歩み寄れなかった。大学側は31日までに現行規定で新学長を選任する準備があることを明らかにした。

大室弁護士は「裁判所は当初から新年度の混乱を避けるため暫定的な学長を決め、その後でルール作りをと提案していた。先方の和解案はこれを無視したもので強い不信感を抱かざるを得ない。理事会が予定している学長選任決議について今後、裁判で無効を訴えていきたい」としている。

北陸大の中川幸一専務理事は31日までに学長と2人の学部長を現行規定に従って選任する。裁判は学内正常化への最初のステップで、和解交渉の決裂は裁判の一区切りにすぎない。4月からも学内正常化への取り組みを続けていきたい」と話している。