(平成9年2月22日 朝日新聞朝刊)

 

北陸大、「2人学長」に 教授側が独自選挙で決定

学長の選任方法をめぐって理事会と教授グル−プが対立している金沢市の私立北陸大学(久野栄進学長)で、教授側が21日、独自に作った学長公選規定に基づいて選挙をし、同大法学部の中山研一教授(70)〓刑法〓を選んだ。理事会側は亜細亜大の前学長で国際政治学者の衛藤瀋吉氏(73)を新学長に選んでおり、学内は昏迷を深めそうだ。

教授側の学長選挙は13日に公示され、学内の全教授60人が学長候補になった。

専任の教授、助教授、講師、助手、実験助手の計182人に選挙権があり、郵送などの不在者投票と、この日学外に設けられた設けられた投票所での投票が実施され、132人が投票した。

教授側はこの選挙について「我々が選んだ人が学長になるとは思っていない。大学の態勢を批判し、公選制による学長選びを実現する1つの手段だ」と説明している。

一方、理事会側は「教授会側の選挙は効力がなく、大学の自治を乱す違法行為」などと批判し、全教職員に選挙に加わらないよう求める文書を配布。19日には、理事会が選んだ衛藤氏の着任や職務を妨害しないよう求める仮処分申請を金沢地裁に出している。

同大学の教授らは昨年12月、学長と学部長の公選規定の制定を理事会に求めた。

しかし、理事会は同8月、衛藤氏を新学長に決め、同9月に公表したため、教授らが反発していた。