(時局と真相 第16号 1996年6月20日発行)

「北陸大学」構内にはびこる不正、不倫の数々!

創設者 林家亀次郎先生の胸中やいかに!!

 

湯涌温泉へ向かう途中の高台、太陽が丘ニュータウンの一角に、北陸大学の太陽が丘キャンパスがある。このキャンパスには、4階建の外国語学部棟、6階建の法学部棟、4階建の図書館、そして、サントラと呼ばれる2階建てのスポーツセンターがある。薬学部は、そこから更に1キロ程山奥に入り込んだ薬学部キャンパスにある。北陸大学は昭和50年に薬学部単科で開学、昭和62年には外国語学部を開学、そして平成4年には法学部を開学した。薬学部の入学試験は年々難化し、卒業生は全国各地の病院に就職している。また、薬学部の教育スタッフは、全国の薬系大学中トップの研究業績を挙げている。法学部は開学後まだ日も浅く未知数であるが、外国語学部は、卒業生に既に多数の教職従事者を輩出している。

しかし、表向きの発展とは裏腹に、大学内部ではここ数年不穏な雰囲気が立ち籠めていた。

大学の設立母体である法人本部は、太陽が丘キャンパスの法学部棟の2階の一角にある。そして、法人の代表者たる理事長室は、その6階にある。理事長室を訪れた人は、まず、その調度品の豪華さに圧倒される。そして、次には、遠く日本海を臨む眺望に圧倒されることになる。

だが、人も羨む理事長室は、陰では第6サティアンと呼ばれていて、事務職員からは恐れられ、学生からは侮辱の対象とされてきた。

北陸大学の最高権力者は理事長である。学長は理事長に任命されるため、全く実権を持たないとのことである。理事長は、先だって金沢市長選挙に立候補して落選したTグループの総帥K氏の長男である。2年前に、当時の理事長であった父親から理事長職を譲り受けたのである。

K氏については、金と女にまつわる黒い噂が絶えない。例えば、愛人であるバーの女の借金のためにTグループから数千万円支払わせたとか、部下の妻に手をつけ、それがバレて刃傷沙汰になったとか、某料亭に勤務する愛人のために手切金として、その愛人が所有するボロ家屋を大学の金で高価に買い取ってやったとか、である。佐川急便の佐川社長と懇意で、選挙の時は数億円の資金援助を受けた話は有名であり、数年前にフォーカスされたが、その時は大学の事務職員が書店中をかけ回ってフォーカス誌を買い占めたそうである。また、昨年、いったんは理事を退職し、3億円近くの退職金(ちなみに大学の内部規定によると数千万円が限度とのことである。)をもらいながら、数か月後には理事に復帰したという噂が巷に広がっている。

K氏の長男である理事長についても、黒い噂が後を断たない。ただし、女については流石に父親の域までは達しないようで、せいぜいで部下の某女性とのラブシ−ン現場を目撃した者が2名いるとか、韓国へ出張の折、向こうの要人との会談をすっぽかして女と遊びに行っていたとかの噂がある程度である。しかし、こと金のことになると、その浪費癖は父親に勝るとも劣らないようである。自分が役員になるや否や理事長の出張手当を大幅にアップし、一日の手当を3万円(教授でさえ5千円である。)にしたとか、職員の給与を他大学の水準より遥かに低く押さえながら、自分だけはこっそりと職員の平均給与の10倍の高級をもらっているとかである。また、連日片町の某高級バ−や、料亭に幹部や来客を連れて出入りし、大学の金で支払っているとか、とくに某寿司屋には事あるごとに出入りし、大学につけまわしているとの目撃情報がある。また、どこかの高級ホテルなみの超清潔なプールを作らせたのはいいが、誰も自分の水着をつけて入ることが許されず、貸し出し用水着を付けさせられ、そのために利用料金が高くなっており、最近に至り学生千数百人が値下げの署名運動をして漸く少し値下げになったそうである。プ−ルの上には豪勢なサウナを作り、職員の厚生施設と称しているらしいが、安月給の職員がそう度々高額な利用料金を払える筈はなく、実態は理事長の専用サウナのようなものとのことである。その上、ほとんど自分しか利用しない早朝に職員を出勤させて、プールやサウナを独り占めしている。その経費は一体誰の金で賄われているのか? また、キャンパスの入口に大掛かりな人工の滝を作り悦に入っているらしいが、その維持費たるや膨大なものだと聞くし、デザインにしてもひ猥極まりないとの評判が専らである。この御仁は、一体どこからそんな経費が出ると思っているのか?

これ以外にも、不要なコマーシャルとか、印刷物等々、数え挙げればきりがないとのことで、とにかく湯水のように大学の金を無駄使いしているとのことである。

北陸大学には4億近くの国庫補助金、つまり国民の税金が、毎年支給されているのである。国民はいい面の皮である。しかし、それよりももっと、同レベルの大学よりは高額な学費を支払わされている父母は、いい面の皮である。

ところで、理事長には、父親にはない別のスキャンダルがある。先に理事長室が第6サティアンと称され恐れられている、と書いたのはこれに起因している。一言で言えば暴力体質である。これまで、権威をかさにきて暴行を受けた事務職員の数は数え知れないとのことである。

肩をこずく、書類を引き裂き投げ付ける、ビンタ、辞書で頭をぶん殴る、土下座させる等々である。しかもこれら暴行は、ほとんどは弱い立場の者、つまり輩下の事務職員に向けられた。

「首だ。」という一言で、彼等は泣き寝入りせざるを得なかったのである。時には、これら暴行は、癌を宣告されて余命いくばくもない職員に対してさえ行使されたという。しかし、究極の暴行が他にもあった。それは、人前で素裸になれと命令することであった。この事件は二度あり、延べの被害者は5名、内4名はスッポンポンになり首を免れたが、1名はスッポンポンになれず首を宣告された。もっとも、翌日、他の者のとりなしによりかろうじて首が繋がったとのことである。これが犯罪に該当するか否かは別として、少なくとも人間の尊厳を踏みにじる行為であり、人道上許される行為ではない。

以上の暴力は、男子職員に対して加えられたが、女子に対しては別の形をとった。

まず、結婚したら退職させる、出産したら退職させる、それでも言うことを聞かない場合は、嫌がらせのため配置転換、賃金カット、ボ−ナスカット等、あわゆる手を尽くすのである。男と女は違う、違うものに対して異なる取り扱いをするのは当たり前で、それは差別ではなく区別である、というのが理事長の持論で、この持論に基づいて、女子事務職員は、どれだけ有能でも、どれだけ年をとっていても、どれだけ勤続年数があっても、管理職には登用しなかったのである。

直接こういった諸々の暴行事件の被害にあい、またはその雰囲気に嫌気がさして中途退職した職員は、ここ5・6年の内だけで実に数十名に上るという。

冒頭、大学内でここ数年不穏な空気が立ち籠めていた、と述べたのは、以上のような事件に象徴されるような一連の圧政に耐えかねて、職員が一斉に蜂起する準備が整えられつつあったからである。そして、それは、昨年7月、労働組合結成という形を取って表面化することになる。そして、その後、12月に至り、組合員である外国語学部外人講師O氏の突然の解雇事件が発生し、法人側と組合の対立が激化することとなる。

O講師解雇事件を調べていくと驚くべき事実に次から次へと遭遇する。まず、彼を解雇した理由が、学生の扇動にあるという点である。事実は平成6年秋に溯る。当時、北陸大学太陽が丘キャンパスで、理事長を批判するビラが、施設内の至る所にばらまかれた。理事長の命を受け、直ちに対策がとられた。事務局職員が四六時中校内を見回り、また委託を受けて警備に当たっている警備会社もその任務を受けた。やがて、11月中旬に至り、当時国際交流センタ−に所属していたI氏が、外国語学部棟の教室内にビラを置こうとしていたS君を発見した。

I氏は直ちにS君を捕まえ、直ぐにやってきた別の職員とともに、隣の法学部棟の二階にある応接室まで彼を連行した。

それから8時間にも及ぶ監禁劇が始まる。この事実は直ちに上司に伝えられ、8畳ほどの狭い応接室で尋問が行われた。S君が逃げ出さないよう、常時見張りがたてられた。都合4回のトイレの時にも職員が同行した。尋問も常時二人で行なわれた。まず最初にY課長、N常務理事、N専務理事の3名が尋問した。S君は小柄で痩せており大人しい性格、しかも当時二十歳になったばかりである。彼は何も犯罪を犯したわけではないのに、犯罪者のごとく取り扱われたのである。Y課長は体育会系の猛者で、仁王様のような大男である。彼が怒声を発すれば、誰もが萎縮してしまう。尋問は入れ替わり立ち変わり行なわれた。だが、極めつけは元警察官のN氏を呼び付けて尋問させたことだった。N氏は当時嘱託職員で、薬学部の事務局に勤務していた。暴力団相手の「落とし」の専門家で、理事長の信任が厚く、何か事がある度に6階(即ち、理事長室)に呼ばれていたという。その時もN氏が呼ばれ、彼は誇らしげに「私は専門家だから、1人でやる。他の人は席をはずしてくれ。」と言って、延々数時間にわたって尋問したのである。

この間部屋の外には見張りをつけ、授業にも出させず、何人もの人間が「放校にする。」と脅したのである。結局、誓約書を書くことと、親を呼ぶことを条件に、S君は開放されたのであるが、その時には実に、逮捕後、7時間半が経過していたのである。

ここではっきりさせておくべきことがある。それは、学生が理事長批判のビラを学内で配ったとしても、それを捕まえる権限は誰にもない、ということである。まず、人を逮捕できるのは警察官である。その場合も、裁判所が許可した令状がいる。

例外的に警察官以外の民間人が逮捕することを認められるのは、例えば、全身血まみれになって逃げている殺人犯を捕まえるとか、犯罪者であることが明らかで、緊急性がある場合に限られる。I氏が行なった行為は逮捕罪に、そして、その後取り調べを行なった人間、それからそれを行なわせた人間は監禁罪に該当するとのことである。

ところで、一国の総理大臣を、一国民がボロクソにけなしたところで、その国民は名誉毀損罪に問われるか? 答えは自明である。否である。それは、公職にある者は、批判を甘受すべき立場にあるからである。未だかつて総理大臣がボロクソに言われなかったという事例を聞かないし、ボロクソに言われたことで国民を告訴したという事例も聞かない。

大学においても、事の道理は同じである。一学生が大学内において理事長を批判したとしても、それは理事長という立場に向けられたものである以上、甘受すべきことである。むしろ、まともな理事長なら、積極的に耳を傾け、改善する余地がないか考えるだろう。それが、上に立つ者の器量というものであろう。

まして、大学には憲法上学問の自由が認められており、世の中で最も思想・表現の自由が行き届いていなければならない場所の筈である。

まともな大学とは、学生が主義・主張を書き殴った看板なり掲示物なりが、至る所に見受けられる、そんなキャンパス風景を持った大学ではないだろうか?

北陸大学の太陽が丘キャンパスを初めて訪れた人は、その美しさに圧倒されるだろう。何故なら、塵一つ、ゴミ一つ、吸い殻一つ落ちていないからである。何しろ警備員は、不審なビラがないか、ゴミ箱の中まで調べさせられているのだから。そして事務職員は、仕事をほっぽり出して、毎日定時にキャンパスを見回るのだから。

北陸大学に見受けられる看板は、学生がささやかな意見を表明するためのものではなく、恰も中年の小父さんのマスタ−ベ−ションのような不気味な表現をされた、馬鹿でかい、そして恐らく馬鹿高い値段の、大学側の看板だけである。

このことを象徴するかのように、北陸大学では、事務局のことを管理局と、事務局員のことを管理局員と称している。他の大学ではほとんど聞いたことがない。教員は皆、管理局に管理されていると思い込んでいるし、事実その通りのようである。

例えば、タイムカード制になっており、教員が大学にいる・いないが管理局前のボードに明示される仕組みにになっているし、有給休暇とか研修を取る時でもしつこくその理由を聞かれるとのことである。学生もまた管理されている。ビラを貼る者がいないか、巡回で監視されているだけではなく、あちこちにテレビカメラまで設置してある、という具合である。教員でも、組合員ともなるともっと監視の目は厳しい。管理局員は、上司の指示があれば、尾行、張り込みもなんのその、盗聴だって、建造物侵入だって辞さないのである。まさに「管理局」の面目躍如である。

話しを元に戻そう。監禁事件の翌日、S君は、Y課長によりまた前日と同じ部屋に連行され、監禁された。その日、別のビラがエレベ−タ−内に貼られており、S君が疑われたのである。

Y課長は、今度は居丈高に怒鳴りつけた。S君は濡れ衣を着せられた悔しさと恐怖のあまりに、泣き出してしまったのである。その日の尋問は1時間半続いた。

翌土曜夜、S君の父親が金沢着。翌日曜日朝、二人は大学へ行く。そして、6階レセプションルームで理事長を待つこととなる。理事長は不機嫌そうな顔で部屋にはいってくる。理事長は「誰が君にこんな情報を流したんだ。」「私は君に怒っている。殴りたいくらいだ。」「しかし、君にチャンスを与える。誰から情報を得たのか正直に私に話したならば放学にしない。」と脅した。

理事長は40台半ばで、眼光鋭く、威圧的である。いい年をした大人でさえ怖がってものが言えない。こんな理事長にS君が恐怖感を抱いたのも無理からぬことであった。

S君は止むを得ず、O講師に思想的影響を受けたことを漏らすに至る。これが第2ラウンドの始まりであった。

O講師の妻は日本人で、当時同大学の国際交流センターで働いていた。その後、夫婦に対して都合2回にわたって退職の強要が行われたが、夫婦はこれを承諾せず、結局法人側は、誓約書を書かせ、妻を学生との接触の機会のほとんどない薬学部の事務局に配置替えすることにより、その場を収拾した。

この事件と相前後して、これと密接に関連したもうひとつの事件が勃発していた。S君が書いたビラ以外に別の学生グル−プが、別のビラを配布する事件が勃発していた。ビラの内容からみて、その背後に教員がいる、と法人側は考えていた。その確証を掴むため、法人は全教員の研究室を捜索することを決定した。その意を受けて、Y課長とK理事が日中からマスターキーを持って研究室を無断で開け、ビラがないか捜索して回った。教員が在室している部屋に、鍵を開けてズカズカ入り込み、中に教員がいると分かって慌てて退散した場合もあった。入試問題を置いてある机を移動して、捜索した形跡もあった。このことについて教学側から抗議を受けた法人は、「法人には建物の管理権限があるので、いつでも研究室に立ち入ることができる。この権限に基づいて研究室を捜索した。」と言明した。

だが、これは、専門家によれば、法人に管理権限があるとはいっても、現に私室として使用させている以上、守られるべきプライヴァシ−があり、建造物侵入罪であるとのことである。

今回は紙数の関係上、この程度に留めておきたい。今回言及できなかったことが多数存在するので、次回以降に譲ることとしたい。なお、この雑誌がフォーカスのように買い占められないように願うものである。

 

次号予告!

次回正月号では本号の未発表分と、太陽グループ関係数社について筆を取りたいと考えています。