(平成9年3月1日 読売新聞朝刊)

 

北陸大学長問題 理事会決議「無効確認訴訟」和解へ

原告側有志教授「選出ルール」条件に

 

金沢市の北陸大学(北元喜朗理事長)理事会が国際政治学者で前亜細亜大学長の衛藤瀋吉氏を次期学長に選出した決議は学校教育法に違反するなどとして、同大学の教授有志25人が大学を相手取り、理事会決議の無効確認を求めていた民事訴訟の第1回口頭弁論が28日、金沢地裁であった。原告側が訴状を、大学側が答弁書を陳述した時点で、裁判所は和解を勧告。双方は勧告を受け入れ、和解手続きに入った。

有志教授らは和解手続き弁論終了後、同市内で記者会見し、「現学長の任期は今月31日までで、次期学長問題が差し迫っているため、和解のテ−ブルにつこうと思った」と和解受け入れの理由を説明、「学長選出などにかかわるかかわるルールづくりと、4月1日からの学長問題を協議したい」とした。

 

大学側、13日までに回答方針

 

原告側は同日の和解手続きで、全教員182人の意向が反映される学長選出のルールづくりを和解条件として提示。一方、大学側は、次回(今月13日)の和解期日までに、回答する方針。

同大学の次期学長問題をめぐっては、27日に大学側が衛藤氏を次期学長に選出した理事会決議を白紙撤回したばかり。また、この問題に関して双方が同地裁に出していた仮処分申請は、和解交渉が始まったことから、申し立てを取り下げると見られる。

 

衛藤氏、訴訟も示唆 「一方的で了解できない」

 

北陸大学が亜細亜大学前学長の衛藤瀋吉氏を次期学長に選任したあと、白紙に戻した問題で、衛藤氏は28日、読売新聞社の取材に対し、「(白紙撤回は)一方的で、事情は何も説明されておらず、まだ了解していない」と語り、今後、大学側の契約違反などで法的手段に訴える可能性もあることを示唆した。

衛藤氏によると、2月25日、北元理事長と東京で会った際、理事長は「おわびします。白紙に戻してください」と4月からの学長着任について断ってきた。衛藤氏がここまでのいきさつなど詳しい事情の説明を求めると、北元理事長は「信頼関係があるので言えない」と説明を拒んだという。

衛藤氏は「辞めることにはやぶさかではないが、あまりに一方的。納得した上で出処進退を決めたい」と話している。

大学側の中川幸一専務理事は「理事長からきちんとお断りしてきたと聞いているが−」と語っている。