(平成9年2月28日 北陸中日新聞朝刊)

 

北陸大理事会 衛藤学長選出を撤回

教員の意思反映表明

学長選出をめぐって北陸大(金沢市)の教授らと大学側が対立している問題で、大学側は27日、亜細亜大前学長の衛藤瀋吉氏(73)を次期学長に選出した理事会決議の撤回を決めた、と発表した。

近く教授会の意思を反映する方法で新しい学長を選出したいとしているが、衛藤氏は「学長就任を白紙に戻すことは、大学側が一方的に通告してきただけで、了承はしていない」と反発。「精神的にも大きな損害を受けた」として、法的手段も含めて対応を検討したいとしている。

 

衛藤氏「了承してない」

 

衛藤氏の学長就任の白紙撤回は。26日に開いた臨時の理事会で決定。中川幸一専務理事は「新学期まで1カ月となり、これ以上の混乱を割けるため決断をした」と説明し、これを機に学内の正常化を図りたいとしている。

これに対し衛藤氏は「25日に理事長が一人で東京に来て、『白紙に戻したい』と切り出された。理由をはっきり答えてもらえなかったため、『理事長個人の意思で、理由の説明もなしに白紙に戻すのは納得いかない』と言って別れており、まだ了承していない」と憤る。「内紛に振り回されたうえ、一方的に学長就任の見送りを告げられ、精神的にも損害を受けた」として「弁護士とも相談し、法的手段を含めて対応を検討したい」と話している。

この問題では、教授有志25人が昨年12月、教授会を通さずに衛藤氏を次期学長に選出した理事会決議は学校教育法に違反するとして、北陸大学(北元喜朗理事長)を相手取り、理事会決議の無効確認などを求めて金沢地裁に提訴、2月21日には教授らによる自主選挙も行われ、法学部教授の中山研一教授(70)を教員らによる次期学長゜として選出していた。

 

時間外賃金未払い 労基署が是正勧告

 

金沢労働基準監督署は27日までに、職員の残業に対して賃金を支払っていなかったとして、学校法人北陸大学(北元喜朗理事長)に対し、過去2年間にさかのぼって割増賃金を支払うよう是正勧告した。

同大によると、過去2年間にわたり、職員らの規定残業時間を超える分の賃金が未払いだったという。大学側は、「担当者への指導が徹底していなかった。今後は指導に基づいて誠意をもって対応していきたい」として、退職者についても未払い賃金を支払うことにしている。

この問題では同大教職員組合が昨年11月、賃金未払いなどの労働基準法違反があるとして、金沢労基署に申告していた。