北陸大学教職員組合ニュース24号(1996.8.30 発行) 

 

雑誌記事問題に関する理事長見解掲示される

 平成8年7月25日付けで組合が提出した雑誌記事問題に関する質問書に対し、期日の7月31日までに回答はありませんでした。8月2日になって桜田書記長に対し、西谷労務担当理事、松村理事は口頭での回答を連絡してきましたが、書記長は、回答は当然組合ニュースにも掲載して議論の対象にするつもりであるから、文書による回答以外は認められないことを表明し、拒否しました。
 その後、8月28日理事長名で「教職員の皆様へ」というこの件についての文書が大学内に掲示されました。また、松村理事より、これを組合に対する理事長見解とする旨の連絡を受けました。この掲示文書に若干の論評をしたいと思います。

 組合は先の質問書で次の2点について質問した。
(1)「当該記事は故なく本学法人を批判するもの」と明言されているのに、何らの措置もとっていないようであるが、その理由。
(2)記事内容の事実関係と見解について。特に、事務職員への暴行、女子職員に対する「区別」、教員個人研究室の無断捜索、および管理局員による組合員の監視等の記述について。

 このうち、(1)についての掲示文書「記−2」では、雑誌の性格を云々して記事そのもの を無視することを正当化しようとしているが、いやしくも公刊され市版されているものが、現に社会的に影響をあたえつつある事態に対し、なんらの措置もとらずに放置することは 理事会の責任放棄ではないのか。相手がかかる雑誌だから泣き寝入りするというのでは個人の場合でも正当な態度とは言えない。まして、大学を設置する法人のとるべき態度 とも思えない。北陸大学と学生や数職員が被った不名誉、不利益を払いのける毅然とした対応を理事長に要求する。
 また、(2)については、「記―3」に一部「前理事長、現理事長に関する部分は、全くの 中傷であり」としているが、組合が"特に"として列記した事項に関してはなんらの回答 も示されていない。「教員個人研究室の無断捜索」に関して「記―5」に今後の方針らしきものが書かれているが、起こった事態の説明も反省も記されておらず、生じてしまった 教員の不信感の除去を真剣に考えたものとは思えない。

以上、この掲示文書は組合の質問に対する真摯な回答とは認め離いものであり、我々は 今後、再質問、団交等を通じて全面的に事実開係を明らかにしてゆくつもりです。また、 本掲示文書に対しても、その内容の不当性、矛盾等を更に追及してゆくつもりです。
本件に関する皆様のご見解等をお寄せください。お待ちしています。

教職員の皆様へ

学校法人北陸大学 理事長

 先般来数次にわたり、教職員有志名等をもって理事長宛の質問書が堤出されていることに対し、その都度口頭で回答をしてきましたが、ここに改めて、学校法人の態度を明確にいたします。入試シーズンも近づいているこの重要な時期、本学の更なる発展のためにも教職員の皆様の一致したご理解とご協力が不可欠です。ご理解をいただき、学校法人の方針にご協力を求めるとともに、いささかも、かかる中傷に協力、 同調するような結果にならないよう、教職員の皆様の良識ある言動を求めます。

1.問題の雑誌記事は、学校法人北陸大学としても、理事長個人としても、誠に迷惑であり、極めて遺憾なことであります。
2.問題の雑誌によるような私立学校の名誉毀損事件の事例は他にもあるので、その対策で識者に諮問したところ、「抗議や裁判上の手続きをとって、長期の裁判に勝っても、結果雑誌の販売促進に利するだけで、本学の得るものはなく、黙殺するのが最も賢明な方策である」、という見解でありました。かかる雑誌に学校法人北陸大学が抗議すること自体、教育を本分とする本学と雑誌社とで、物事を見る基軸を同じくすることになると考えます。
 公教育を担い、教育研究について社会的責任を負う本学としては、このような記事を無視することによって、無用な混乱を未然に最小限にとどめ、本学の本来の任務に全力を挙げることこそ望ましいと思料されます。
3.記事の内容について一言触れると、前理事長、現理事長に関する部分は、全くの中傷であり、論評するまでもありません。
4.学生の逮捕・監禁に関する記事は、2年近く前に発生した、不許可ビラを配布していた学生に対する補導を 題材にしていると思われ、本件に関しては当時あらゆる面で、既に決着のついていることであります。卒業や就職を控えている立場の学生の、既に完結した出来事を再度云々することは厳に控えるべきであり、 学生の将来を暖かく見守るべきであると考えます。
5.教育環境(労働環境)につながる教員個人研究室は、今後とも平穏無事を保障するものであります。

 最後に、有志名をもって回答者を名指しし、文書による回答と回答書の公開を付言、また期限を付すなどの質問書 は、甚だ一方的なもので遺憾であります。今後は、教育機関としての大学の組織に基づく、節度ある行動を期待する ものであります。   以上

本文書は、平成8年8月28日朝、法学部棟2F講師控室、並びに薬学部本館2Fに掲示されたものを、 原文の様式に沿って作成したものです。