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平成9年2月19日

  今一度,良識ある判断を

   無効な自主選挙への不参加を要望

 思い起こせば、ちょうどど寒風吹きさらす今ごろの時期、昭和50年2月15日に本学薬学部の設立が認可され、わが北陸大学は産声をあげました。以来、22年目を数える今日まで本学は日本のみならず国際社会にも貢献できる人材育成に邁進してきましたが、雪化粧した眼前の山々が凛として、気高さを増すこの時期を迎えるたび、社会における本学の責務と創設者・初代理事長林屋亀次郎先生ら先達から受け継いだ歴史の重みを感じずにはいられません。奇しくもこの時期、教員有志と自主選挙の選挙管理委員会は、21日に本学の歴史に汚点を残す学長候補者自主選挙の投票を強行しようとしています。あまたの人々の手塩に掛けられ今日の姿に成長した本学の信用と秩序が、自他ともに実効性がないと認める自主選挙によって損なわれることを思えば、返す返すも残念でなりません。どうか教員の皆様、今一度、本学の置かれている状況を冷静に見つめ、かかる無効な自主選挙に参加することのないよう、切に良識ある判断をお願いするものです。

 従来、度々述べているように、学校法人は現行の諸規定をやみくもに固守する考えはなく、学長の選出においては、教員の意思を反映できる選出方法を話し合いにより構築していきたい思いに変わりはありません。ただし、それは本学の正規の機関で討議を尽くしたうえでのことであり、この自主選挙が問題解決の妨げになることは言うまでもありません。学校法人として法的措置に訴えるのは望むところではありませんが、ここに至ってはやむを得ず、このほど自主選挙の禁止を求める仮処分命令申立書を金沢地裁に提出しました。学長任用規定は本学の最高重要規定だけに、改正に至るには慎重かつ念入りな討議が必要であり、拙速に陥れば必ず将来に悔いを残します。

 それにもかかわらず、教員有志はなぜ、あたかも迫りくる期限に追い立てられるかのように、数の力を頼りに強引に自主選挙を推し進め、しかもこうした学内の問題を判で押したようにマスコミを通じて学外へ流布するのでしょうか。敢えて家庭を例にとれば、夫婦間の問題をやたらと家庭の外で話したがる人に尊敬の眼差しが向けられることがあるでしょうか。

学校法人は今後も秩序正しく冷静に話し合う場づくりの努力を惜しみませんが、本学の秩序、運営に大きな支障をきたす行為に対しては毅然とした対応をせざるを得ないと考えます。決して正常とは言えない本学の現状を正すためには、何をなすべきか。本学の来し方、行く末を見つめ、そして今我々の足下を揺さぶる波にただ身をまかせればどうなるのかを、虚心坦懐に自問するべきだと考えます。21世紀に向け更なる発展を目指す本学にとって、かけがえのない皆様の見識に改めて訴える次第です。

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