With 平成10年No.6(1998.5.15)

 

カレッジマネジメントの「大学教育改革の学生認知度調査」から

 

最も期待されるのは、やはり充実した授業

 

3月1日と5月1日発行のカレッジマネジメント89、90で、リクルートが行った「大学教育改革の学生認知度調査1998」のまとめが掲載されました。医歯薬系などを除く四年生在籍600人以上の大学で、学生からの回収数が30人以上であった252校の結果をまとめたものです。

 各項目について学生が五段階の点数で評価し、大学ごとの平均値でランク付けをしています。教育サービス実施度合の調査は67項目にわたり、全体の平均値から見て、学生の認知度の高い上位項目について、記事では次のように解説しています。

 『認知度の高い項目から並べてみた。一番高い得点は前述した「一、二年次からの専門分野」である。この他、6位の「複数の専門分野の科目や講座を自由に選択できる」と19位の「他学部・他学科の授業に参加できる」も含めると、履修に関連した部分は、学生の選択の自由度が広がっているように見える』。

 まとめでは、教育サービス67項目と学生の「充実度」との相関関係も、学部系統別に紹介されています。算出された相関係数の高い教育サービスが、学生に教育の「充実度」を強く感じさせるという結果になっています。

 これを見ると、外国語学部が含まれる文・人文系、法学系ともに、学生が最も教育の充実を感じるトップ項目は、「専門分野を研究するための実験設備や環境が充実している」です。また「探求心をそそられる内容の授業が多い」、「受講してよかったと思う授業が多い」、「自分の適性や将来を考えるチャンスが多い」がともに上位5項目に入っています。

 このほか、文・人文系では、「自分の生き方や将来の仕事に影響を受けるような先生や授業が多い」が、法学系では、「最先端の研究内容や活動に触れる機会が多い」が、それぞれベスト5に含まれています。

 こうした結果は、学生たちが、専門分野での知識や学問的深求を深められる授業、人生の方向性を探る上で指針となる授業を強く求めていることを明確に物語っています。学生が大学に最も期待するのは、何よりも中味の濃い、充実した授業なのです。

(次頁では、この調査で本学がベスト50入りした項目についてご紹介します)

 

 

本学がベスト50入りした項目について

教育の特色が学生の意識に浸透

 

教育サービス実施度合67項目について、各項目ごとの上位50校のランク表を見ると、本学は13項目でベスト50に入っています。

 この13項目のうち、次のように5項目までが国際交流、もしくは語学教育に関するものです。「海外留学できる機会が多い」(17位)、「授業の中で外国人の先生と接する機会が多い」(17位)、「留学生を多く受け入れており、国際交流が盛んである」(23位)、「外国語の授業で日本語を使わない形式の授業が充実している」(34位)、「外国語の授業方法に特色がある」(48位)。こうした結果は、優れた国際人の輩出を目指す本学の特色が、学生たちの意識に浸透していることを物語っています。

 今一つ、本学のベスト50入りで目につくのは、学生の意見発表や議論を組み入れた授業に関する三項目が含まれていることです。「デイベートやデイスカツションなど参加形式の授業が多い」(14位)、「個人の意見や考えを求められる授業が多い」(29位)、「通常の授業にグループワークが多い」(38位)。これを見ると、ゼミや演習を主体とした小人数を対象とする本学の授業の特色が、学生に認知されていると言えるようです。

 一方、学生が認識する大学で身についた力に関する19項目のうち、本学は次の二項目でベスト50に入りました。「外国語の本を読んだり、外国語で話をしたりすること」(18位)、「国際的な感覚を持つこと」(22位)。

こうした結果は、教育サービスで34位にランクされたシラパスなどを学習情報の媒体としながら、本学が長年取り組んできた教育の特色が、学生の意識に定着するという具体的な成果を示していると言えます。

 

学生が認識する「教育サービス実施度合」で、本学がベスト50入りした項目

 

順位       項 目                     加重平均

14位 デイベートやディスカッションなど参加形式の授業が多い    −0.11

17位 海外留学できる機会が多い                  +1.02

17位 授業の中で外国人の先生と接する機会が多い          +0.70

23位 留学生を多く受け入れており、国際交流が盛んである      +1.26

25位 外国人や企業出身者など教員構成がバラエティーに富んでいる  +0.30

27位 予習を必要とする授業が多い                 +0.09

29位 個人の意見や考えを求められる授業が多い           −0.02

34位 シラバスなど学生に必要な学習情報が十分に提供されている   +0.84

34位 外国語の授業で日本語を使わない形式の授業が充実している   −0.02

38位 通常の授業にグループワークが多い              −0.46

45位 聞いていて授業がわかりやすい先生が多い           −0.09

48位 資格取得につながる課外の講座が充実している         +0.06

48位 外国語の授業方法に特色がある                −0.24

 

「そう思う」が+2点、「ややそう思う」が+l点

「どちらともいえない」が0点、

「あまりそう思わない」が−1点、「そう思わない」が−2点。

この五段階評価で学生が回答した得点をもとに、各大学の平均値(加重平均)を出した。加重平均の最高は+2。

 

 

平成9年度の課外活動の成果

 

昨年度は、自転車競技部が全国レベルの大会で上位入賞を重ねたほか、かるた部が全日本

かるた選手権で団体優勝に輝くなど、スポーツ、文化両面で学生諸君のがんばりが目につきました。今年度の更なる活躍が期待されます。

 

(水泳部) 中部学生選手権水泳大会出場

(アーチェリー部)春季対抗戦優勝、北信越新人戦優勝、秋季対抗戦優勝

(自転車競技部) 97MTB・JCFジャパンシリ−ズ第6戦エリート部門8位、全日本アマチュア選手権大会スプリント女子2位・男子9位、3kmTT女子個人4位、500mTT女子8位、全日本学生ロードレースロード2位、3位、全日本学生選手権男子ケイリン優勝

(軟式野球部) 秋季リーグ戦優勝、春季リーグ戦2位

(合気道部) 道文館合気道演武大会参加

(アイスホッケー部) インカレ予選優勝、室橋杯アイスホッケー競技大会優勝

(バスケットボール部) 石川県学生選手権女子3位

(バドミントン部) 秋季リーグ戦U部2位

(アメリカンフットボール部) 北陸学生アメリカンフットボール連盟二部リーグ優勝・一部昇格

(少林寺拳法部) 全日本学生大会本戦出場

(バレーボール部) 北信越バレーボール大会2部準優勝、北陸三県バレーボール大会2部準優勝

(空手道部) 不動会空手道全国大会出場

(剣道部) 北信越学生剣道大会2位、個人3位、全国大会出場(女子)

(ハンドボール部) 北信越春季学生リーグ2部4位

(陸上競技部) 国体石川予選大会男子100m優勝、北信越学生選手権男子100m 3位、4×100m 6位、女子100m 4位、200m 2位、400m 6位、1500m 4位、北日本学生対校選手権男子4×400m 6位、女子400m 5位、石川県女子駅伝競走選手権一般の部女子優勝

(硬式テニス部) 北信越学生テニストーナメント大会女子ダブルス優勝、北信越学生テニス選手権大会女子ダブルス優勝・男子ダブルスベスト4、北信越学生室内テニス選手権大会女子ダブルス準優勝

(硬式野球部) 金沢市長杯準優勝、秋季リーグ戦3位

(水球部) 中部学生リーグ3位

(スキー部) 国体予選女子大回転2位・回転3位

(軽音楽部) KSBフェスティバル97準優勝

(ゴルフ部) 北陸三県学生ゴルフ選手権女子個人2位

(茶道部) NSK金沢日本語講座参加

(ソフトテニス部) 北陸学生ソフトテニス選手権大会女子団体3位

(サッカー部) 北信越リーグ総合5位

(写真部) 北陸大学写真部写真展開催

(柔道部) 北信越学生柔道体重別選手権大会71kg以下級優勝、北信越学生柔道優勝大会無差別級3位、北信越学生女子柔道優勝大会団体3位

(卓球部) 秋季北信越学生卓球選手権大会女子団体4位、北信越学生卓球新人選手権大会女子個人3位

(吹奏楽部) 全日本吹奏楽コンクール県大会銀賞受賞

(箏曲部) 芸術交歓祭参加

(チアリーデイング部) キャンプ・イン・ソウル等に参加

(かるた部) 全日本大学かるた選手権団体優勝

(準硬式野球部) 春季予選リーグ1勝2敗

 

 

○教職課程委員会を構成される方々が、次のように決まりました。

 

委員長・三谷嘉明

(外国語学部)

地蔵堂貞二

坂本正裕

林 正人

井上裕子

C.B.プリブル

 

(法学部)

三谷嘉明

叶 秋男

小南浩一

 

〇5月1日付人事異動

棒田朱美 (就職指導課)

斎藤延行 (入試課)

森如範 (法学学務課)

 

 

キャンパス点描(五人扶持の松)

 本学教養別館の「林鐘庭」に凛として立つ五人扶持の松は、本学関係者のみならず、地元においてもよく知られた松である。樹齢400年を超えるといわれ、高さ7m、枝振りの南北24m、東西19mに及ぶその雄姿は、4世紀にわたる風雪を絶えてきた威厳が感じられる。

 教養別館はかつては、創設者・林屋亀次郎先生の邸宅であり、林屋先生がこよなく愛されたこの松は、藩政時代には与力を務めていた吉川家が所有していた。その頃から既に名木の誉れ高く、13代藩主前田斉泰公が城内への移植を望んだが、あまりの大木ゆえに断念し、「何時までも枯らすことなく、心して手入れを致すべし」として、その維持費として五人扶持を与えたと伝えられている。現在も剪(せん)定はもらろん、樹木医の指導のもとに有機肥料を施すなど念入りな管理が続けられ、青々とした色艶を保っている。

吉田茂氏から中曽根康弘氏まで歴代10人の総理が一見して、技ぶりの見事さに感嘆したとしたというこの名木は、本学の宝であり、心を和ませてくれる貴重な存在である。

 

後記

某洋酒メーカーのテレビコマーシャルに、「時間は流れない。時間は積み重なる。」というのがあった。一日という時間が積み重なった先に、美しく老いたショーン・コネリーの豊かな表情が描かれたその映像は、今でも鮮明に蘇ってくる。確かに時間は万人に平等に与えられているが、その人自身の極めて意図的な営みがなければ、時間は積み重なってはくれない。

 多くの大学は、18歳人口の急減期を迎え、その対応に時間と叡智を投下している。大学の発展という共通認識を拠り所として、構成員相互の意見の相違を克服しながら、前へ

と進んでいる。時間を積み重ねるということは、そういうことだと思う。

 他大学の職員は、今はともかく前進することだけに全力を傾注すべき時であると異口同音に言う。臨定の問題、志願者が急減していること等々。いずれの大学も、存立の根幹

に関わる問題を抱えながら、その解決に向けて取り組んでいる。

 まもなく6月。次年度への取り組みが本学においても始まっている。一つ一つの取り組みが、この2、3年の歴史を支えてきた。これからの取り組みが、明日あることの糧となる。その積み重ねの先に、私たちは、本学のどのような姿を描きだせるか。待ったなしの、時間との競争が始まっている。

 

発行日1998年5月15日

発行 学校法人 北陸大学

編集責任者 中川 幸一

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