学生有志の会から学生に対して郵送された理事長退陣を求める署名依頼の文章を入手しましたので、参考資料として、ここに掲載します。


北元喜朗理事長退陣の賛同を求める署名について

 
突然のお手紙、失礼いたします。
現在、私たち学生有志の会は、学生の過半数である2000人を目標に、理事長退陣を求める署名を集めております。2月19日に中間報告として、学生の2割にあたる681人の署名を文部大臣宛てに送付いたしました。同日、記者会見を行ったところ、石川県内の民放全てがこの問題について報道し、翌日には新聞各社も県内ニュースとして取り上げました。なお、その後も署名活動を展開し、現在708人に達しています。
ここ数年、北陸大学は学生が監禁される事件や学長任用問題、経理の未公開、教職員組合や大学正常化を求める教職員有志の会に対する様々な嫌がらせ、前代未聞の2度にわたる行政指導、文部省からの補助金カット…などで大きく揺れております。これらについては、同封した資料やインターネットの北陸大学教職員組合ホームページ(http//www.teleway.ne.jp/~hussu/)などをご覧ください。私たちはこれら諸問題は、理事長をはじめとする理事会の独断専行による大学経営にその原因があると考えております。私たちの趣旨に、少しでも賛同して下さるのであれば、ぜひ同封したハガキにご署名の上投函していただきたいと思っております。
「愛すべき」北陸大学を守るために、ぜひご協力下さるようお願いいたします。
 
          1998年3月吉日 北陸大学学生有志の会一同
 
追伸  この署名は文部大臣には送付いたしますが、理事長および大学当局には人数のみ報告しております。プライバシーは確実に守ることをお約束いたします。


(新聞記事のコピー)

平成10年2月20日 毎日新聞朝刊(理事長退任など要求 北陸大学学生有志 文相へ681人の署名送付)
平成10年2月20日 北國新聞朝刊(北陸大生が理事長退任求め署名 文部省に提出)
平成10年2月20日 北陸中日新聞朝刊(理事長退任求め署名 681人分 学生が文相に提出)
平成10年2月20日 読売新聞朝刊(理事長退陣求め一部学生 文部省に署名提出)


資料:
 
「大学に表現の自由の確立を」(学生監禁事件など)
1994年、「世襲制ってすばらしい!」と題したビラを作成し、理事長の世襲を皮肉った当時外国語学部2年生のS君が、理事長の命を受けた職員によって拘束され、7時間半にわたって「監禁」された話は皆さんご存知でしょう。S君は職員や理事長から「放学」にするぞと脅されて、背後関係を自供するよう強要されたそうです。この事件が無言の圧力となり、学生が大学にモノを言えない状況を作っています。学生が出す掲示やビラは全て「検閲」し、理事長のイヌみたいな職員と警備員と監視カメラで、毎日学生を「監視」している大学なんてこの大学ぐらいでしょう。ちなみに、一昨年には教職員組合が使っている部屋から盗聴器が見つかったそうですし、先生が尾行されたりしたそうです。このような状態では、とても大学側と話し合うことなんて出来ません。だからこそ、こうした手紙による署名活動となったのです。
 
「学生の福利厚生の向上を」(学生会館・体育館の建設、駐車場・運動施設の整備)
 
北陸大学は創立から23年、太陽が丘キャンパスだけを見ても12年が経とうとしています。しかし、学内に学生の福利厚生を向上させるような施設・設備がいったいどれだけあるでしょうか? とりあえず、高そうな絵画とピカピカの公用車は増えているようですが…。
太陽が丘キャンパスについていえば、クラブ会館は工事現場にあるようなプレハブ、学生駐車場は警備員がウジャウジャいて、バカ高い駐車料金を取っている割には、狭く汚い状態というのはどういうことなのでしょうか。体育館がないにもかかわらず、理事長ぐらいしか利用しないサウナを備えたサウンドトラックという有料施設はあるようです。学食はお世辞にも安いとは言えない状況ですし、メニューも不十分だと思います。薬学部キャンパスはどうかといえば、施設・設備が20年以上経っているので、クラブ会館をはじめとして、あちらこちらにガタがきていたり、定員以上の学生を取り過ぎたため、実験にも支障が出ているそうです。また、シャトルバスといういっぱい走ってくれそうな名前のバスは、いつも太陽が丘キャンパスに駐車されていて、よく動いているとは言い難い状況です。薬学部は実験・実習が多く、夜遅くまで勉強しなければならないのに、シャトルバスの最終便が18:15の為、車などの移動手段を持たない学生は暗い夜道を徒歩で帰らなければならない状態です。こんな不幸な状態を一刻も早く脱出する為にも、ぜひ署名活動にご協力を…。
 
「授業料の減額」「経理の公開」(文部省の行政指導に従え)
 
日本有数の学費の高さを誇る北陸大学ならば、もう少し学生に還元されてもいいと思いませんか? 還元しているというなら、その証拠を目に見える形で見せるべきでしょう。施設・設備が不十分なのは前にも書いたとおりですが、数字的に、すなわち経理を公開して。私たちの親が支払っている授業料がどのように使われているか知らせるべきです。現在、理事会は「平成10年度分からは公開するが、それまでのものは公開しない」と言っています(ちなみに経理公開は、文部省の行政指導の項目の一つ)。なぜ公開しないのでしょうか? 見られるとヤバイ事がウジャウジャあるからじゃないのかと疑うのが自然でしょう。もし、このまま何も変わらないのなら(署名が集まらないと何も変わらないと私たちは考えていますが…)授業料は減額されるべきでしょう。ただ、北陸大学は現在補助金カットになっているので、以前ほどは裕福でないのは問題ですが…。
 
「前理事長への約3億円もの退職金の一部返還」
 
北元喜雄前理事長(北元喜朗理事長の父)が退職する際、それまでの退職金規定をわざわざ改定して、およそ3億円もの退職金を支払ったと聞いています(それまでの規定ではせいぜい9,000万円位にしかならないそうです)。しかも、理事長を退職した数ヶ月後に、またもや理事として復帰し、約3,000万円の年棒をかせいでいたといわれています。文部省の指導もあって、この厚顔無知な男も昨年5月に退任しましたが、今でも「年金」という形で理事当時の年棒と同額の金を貰っているそうです。授業料を出している私たちとその親、さらには税金から補助金を出している国は、北元親子にとっては「キャッシュディスペンサー」でしかないのでしょう。
 
「最後に…」
 
この手紙が最初にきたとき、もしかしたらあなたは「なんだか胡散臭いものが届いたなあー」とか「ヤバイ文章だなー」位にしか評価していないかと思います。ご家族のなかで、この手紙を見られた方のなかにはいわゆる大学紛争時代の全共闘を思い浮かべる方がおられて、署名に反対されるかもしれません。しかし、その頃の状況と私たちの状況は全く違っています。その頃の図式は「学生」対「社会」だったり「学生」対「大学」だったりして、どちらかといえば学生が孤立していた感があります。現在の私たちの状況は「理事会+理事会の犬みたいな一部の教職員」対「教職員有志+教職員組合+文部省+マスコミ+書名を書いてくれた学生」なのです。実際、マスコミも私たちに概ね好意的でしたし、記者会見後、北陸大学教職員組合は早速号外を出し、私たちの活動を評価してくださり、2月24日からの4日間、金沢市香林坊や片町で、理事長の退陣などを求めるビラを配っておられました。北陸大学の正常化を目指す教職員有志の会の先生方も私たちの動きを評価して下さいました。そして、当事者である理事側からは「突然のことで驚いている…」以外のコメントは何一つ出ていません。(ちなみに、教職員組合が行ったビラの配布は理事会が「中止せよ」と圧力をかけているようです。)また、理事会側は学生の2割にあたる681人という数を「一部の学生」と捉えているようです。確かに一部といえば一部かもしれません。これを過半数にし、できることなら3分の2までいけば確実に大学は変わるでしょう。しかし、この活動が失敗に終われば私たちが要求してきた項目の全ての効力が失われるでしょう。なぜなら、例えば今後「体育館が欲しい」といったような活動を誰かがしても、理事側は「以前にも同じような活動をした奴がいるが、他の学生が否決した(=署名しなかった。)つまり、君の個人的意見であって学生全体の総意ではない。」と言われるでしょう。この署名があなたが大学に求めているものを要求する最後のチャンスになってしまうかもしれないのです。「私一人が書かなくても、誰かが書いてくれるだろう…」なんて考えないで下さい。あなたの一票は、私たち学生有志の会への信任票であり、北元喜朗理事長への不信任票でもあるのです。「大学はこのままでいい。潰れたってかまわない。」と思っておられるなら別ですが、少しでも「おかしい」とか「変えて欲しい」と思っている方、私たちにほんの少し力を、そして大きな力を貸して下さい。どうか、お願いいたします。
 
1998年3月吉日 北陸大学学生有志の会一同